1993 Fiscal Year Annual Research Report
妊婦末梢血T細胞におけるIL-2/IL-2R機構に関する研究
Project/Area Number |
05771272
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
松田 琢磨 岩手医科大学, 医学部, 助手 (00199803)
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Keywords | 妊娠 / OK432 / IFN-alpha / IL-2 |
Research Abstract |
母体に対して非自己である胎児が免疫学的拒絶を免れ妊娠が一定期間継続される機構の解明を試みた。全身レベルでの免疫能に変化が生じているものと仮定し妊婦末梢血単核球を、溶連菌製剤OK432,IL-2にて刺激培養した。その産生するcytokineを測定、比較した。初期の検討においてはOK432刺激によるIFN-alpha産生を検討した。培養3日目のIFN-alpha濃度は妊婦1456±883IU/ml、非妊婦2646I1125IU/mlであり妊婦においてIFN-alpha産生量の低下が認められた。そこでOK432刺激時の他のカイトカインについて測定した所、IL-1Bの産生は妊婦6.3±3.9ng/ml、非妊婦13.5±3.8ng/mlであり妊婦における単球のIL-1産生の抑制が観察された。IL-2に関しては、妊婦、非妊婦共に測定感度以下であった。可溶性IL-2R(SIL-2R)の産生は妊婦969±154U/ml、非妊婦300±169U/mlであり、妊婦においてT細胞の活性化が抑制されている可能性を得た。以上よりOK432刺激実験により妊娠時においては単球の抗原認識能の低下、及びそれに引き続くIL-1B産生の低下が生じ、そのことにより、もしくはT細胞機能の低下も存在して、INF-alpha産生が低下していることが明らかになった。 更に単球IL-1Bを介さずIL-2からのcascadeを検討する為に末梢血単核球をIL-2にて刺激して同様に検討した所SIL-2R産生は妊婦10±10U/ml、非妊婦180±30U/mlと妊婦において著明に低下、IFN-2産生量は妊婦34±44U/ml、非妊婦152±100U/mlとこれも著明に低下しており、妊婦においてはT細胞のIL-2に対する反応性が著明に低下していることが明らかになった。 現在はT細胞におけるIL-2Rの解析と、妊婦における初期免疫応答がTh2細胞優位に液性免疫主体に発動する可能性について更に検討を加えている。
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