1993 Fiscal Year Annual Research Report
抗癌剤の効果判定に関する卵巣癌培養細胞の超微形態学的研究
Project/Area Number |
05771273
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Research Institution | Research Institute for Clinical Oncology, Saitama Cancer Center |
Principal Investigator |
田島 秀郎 埼玉県立がんセンター, 研究所生化学部, 研究員 (10240988)
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Keywords | Ovarian cancer / Cell line / Cis-dichlorodiamineplatinum(II) / Ultrastructure / Chemosensitivity |
Research Abstract |
卵巣癌細胞の抗癌剤による効果をどのように判定するかを解析するために、卵巣漿液性腺癌由来細胞株のうち腫瘍マーカー産生能の異なる細胞株SMG-1及びSHIN-3を用いて、対数細胞増殖期を中心にCDDPによる初期変化を検討した。各実験のcontrolとして倍地中に生理食塩水のみを5%添加した細胞を用いた。 SMG-1及びSHIN-3の薬剤感受性を検討するためにMTTassayを行い、両細胞のCDDP添加48時間後のIC_<50>は7.1及び1.9mug/mlであった。また、両細胞に0.5、5、50、100mug/mlの濃度でCDDPを15時間添加培養したときの薬物反応曲線では、SMG-1は48時間以降でcontrolに比べ5mug/ml以上で明らかな増殖抑制を認めたのに対し、SHIN-3では0.5mug/mlでも24時間後には増殖抑制を認めた。SMG-1及びSHIN-3のED_<50>は57.5及び21.5mug/mlであった。 次に抗癌剤による細胞障害がどの様な過程で現れるのかを検討するために、CDDPを0.5ないし100mug/mlの濃度で15時間反応させた時の濃度依存性変化、並びにCDDPの濃度を5mug/mlまたは50mug/mlとして30分ないし15時間の範囲で反応させた時の経時的変化を超微形態学的に観察した。CDDP低濃度でRNA合成障害が認められ、この変化はDNA合成障害よりも低濃度かつ早期に認められた。経時的な変化ではDNAの合成障害の出現と共に細胞室内の膜構造及び分泌物合成能が障害されるものと考えられたのに対し、濃度依存性変化ではDNA合成障害は反応時間により強く影響されるものと思われた。CDDP高濃度ではDNA合成が著しく抑制され、核小体の変性も強く認められた。以上の結果より、CDDPによる最初の変化は、DNAからRNAへの転写機構の障害によるRNA合成の障害が示唆された。また、CDDPは膜構造の障害をも引き起し、CDDP高濃度では殺細胞効果を持つことが示唆された。
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Research Products
(1 results)