1993 Fiscal Year Annual Research Report
卵巣癌の増殖に対するFSHの促進作用に関与する蛋白とセカンドメッセンジャーの解析
Project/Area Number |
05771288
|
Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
大谷 香 日本大学, 医学部, 助手 (40246872)
|
Keywords | ovarian cancer / FSH / cell growth / protein kinase C |
Research Abstract |
FSHは、FSH受容体を介し上皮性卵巣癌の増殖を促進するが、この促進作用に関与するsecond messengerと蛋白について、ヒト漿液性嚢胞腺細胞(HRA株)を用いて解析を試みた。その結果、 1)second messengerの同定:HRA株の増殖は、FSHで用量依存性に促進され、protein kinase阻害剤であるH7、HA1004により抑制された。しかも、protein kinase C(PKC)阻害剤であるH7による抑制作用のみがFSHの併用添加で用量依存性に抑制されたが、PKCには作用を示さないHA1004の抑制作用には拮抗しなかった。また我々は以前FSHによりHRA株のCAMP産生は影響されないことを明らかにしており、以上の結果より卵巣癌の増殖に対するFSHの促進作用において、PKCがsecond messengerとして作用することを示唆した。次にPKCについて分子生物学的に解析を行い(Westen,Nertten blot)、HRA株はPKC type II,IIIを発現しており、その発現はFSHで増強することを明らかにした。 2)FSHの増殖促進に関与する蛋白の抽出と同定:FSHは、HRA株の増殖においてtoggle switch的に作用し、FSH添加8〜24時間以内にHRA細胞で産生される蛋白が増殖促進作用を直接的に司さどることを明らかにしたが、HRA株の蛋白リン酸化実験において、HRA株の約80KDの蛋白のリン酸化はFSHにより増強し、またこのリン酸化はH7の併用で減弱することを今回明らかにした。 以上より、FSHによる卵巣癌細胞の増殖促進作用のsecond messengerとしてPKC type II,IIIが作動し、約80KDの蛋白の自己リン酸化が関与することを本年度の研究にて明らかにした。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] K.Ohtani etal: "Shrmlatoy Effects of FSH or the prolheration of ovamian canier cellbive in utroaod in vivo" International Journal of Gynecological cancer. 3. 71- (1993)
-
[Publications] 大谷香 他: "卵巣癌とゴナドトロピン" 産科と婦人科. 60. 211-220 (1993)