1993 Fiscal Year Annual Research Report
涙液分泌能よりみたネコ涙腺血流に対する自律神経の役割
Project/Area Number |
05771383
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中目 義則 東北大学, 医学部・附属病院, 助手 (70237452)
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Keywords | 涙腺血流 / レーザードップラー血流計 / ネコ / 自律神経 / 反射性血流上昇 |
Research Abstract |
ペントバルビタールナトリウム(ネンブタールR),臭化パンクロニウム(ミオブロックR)にて麻酔、不動化したネコを脳定位固定装置に固定し,上眼瞼を切開して涙腺を露出した。マニピュレーターを用いてレーザードップラー血流計のプローベを涙腺面に垂直に当たるように固定し、涙腺血流の測定を行った。あらかじめ血流測定側の頚部交感神経(節前線維)を露出し,電極を接続したのちに随走する副交感神経(迷走神経)線維を切断した。その後交感神経電気刺激(20Hz,1〜5V,0.02sec)による血流変化について観察した。交感神経刺激で涙腺血流は減少した。交感神経刺激により涙液分泌がどうのように影響されたかはBotelho,S.Y.ら(66,Arch Ophthal.)の方法で分泌量を測定して行う予定であったが,分泌量が非常に微量な為測定できなかった。この点に関しては今後ウサギを使用することも考えている。交感神経に関する実験と並行して副交感神経(顔面神経,舌咽神経等)や,感覚神経に関する実験も行った。顔面神経刺激では血流上昇がみられたが、舌咽神経刺激においては血流変化を記録しなった。角膜と下眼窩神経を刺激した場合反射性の涙腺血流増加がみられた。口唇,舌,脈絡膜についても血流の測定を試みた中で,フェントラミンの投与後およびキャブサイシンの神経塗布後に起こった脈絡膜血流増加反応はアトロピン抵抗性の副交感神経(節後線維)性によるものと考えられた。このことから眼球後部を副交感神経線維が,感覚神経や交感神経とともに伴走し,眼球に達していることが生理学的に初めて証明され,しかも脈絡膜血流増加作用を有することが示された。光刺激に対する反応も検索し,Parver,L.M.(91,Eye)の言うような光刺激での脈絡膜血流増加反応はみられなかった。
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