1993 Fiscal Year Annual Research Report
酸素投与による幼若ビ-グル犬の眼内血管増殖病変の組織学、生化学的研究
Project/Area Number |
05771429
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
熊谷 謙次郎 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (90205162)
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Keywords | 酸素誘導網膜症 / 未熟児網膜症 / ビ-グル犬 / 網膜新生血管 |
Research Abstract |
材料は生直後の幼弱ビ-グル犬で、ビニールアイソレーターに入れ人口授乳を行い、95〜100%の酸素の連続投与を行った。その開始時期は出生当日の翌日より生後5日目までの96時間とし酸素誘導網膜症を作成した。眼底鏡的には未熟児網膜症に見られる網膜血管病変である分界線(demarcationline)、網膜血管の発芽(budding)や硝子体出血を認めた。光学顕微鏡的には網膜血管先端部に見られるspindle cellや網膜血管の硝子体腔への新生血管などを認めた。初期の未熟な血管芽細胞やその周囲の細胞などについて電子顕微鏡的に見ると視神経乳頭部を含む後極部網膜血管や周辺部網膜血管と比較し血管の基底膜を構成するコラーゲン線維の密度や血管内皮細胞の接着装置の形態よりかなり成熟していると思われた。つまり同一の標本でも周辺部網膜血管の方が後極部網膜血管よりかなり未熟であった。蛍光眼底検査を行い網膜出血や虚血性変化による無潅流領域、および網膜新生血管からの著名な蛍光色素の漏出などを認めた。 一般的に未熟児網膜症に対しては網膜光凝固術や網膜冷凍凝固術が施行されているが、その光凝固術や冷凍凝固術が施行された部位とそれ以外の部位における光学顕微鏡的にTGF-betaの分布を観察した。光凝固術や冷凍凝固術が施行された部位では条件が強すぎたためか網膜色素上皮での染色性は認めず、それ以外の部位では通常どうりの染色性を認めた。今後さらに光凝固術や冷凍凝固術の条件に関しての検討や生化学的にELISA法などを用いてこれらの網膜内および硝子体内の経時的変化を定量的な検討を重ねる必要があると思われた。
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