1993 Fiscal Year Annual Research Report
実験的歯髄炎における各種ペプタイド含有神経の動態に関する研究
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05771472
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
糸田川 徳則 大阪大学, 歯学部・歯科保存, 助手 (70232494)
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Keywords | Substance P(SP) / Calcitonin Gene-Related Peptide(CGRP) / 歯髄炎 / 根尖性歯周炎 / 炎症 / 免疫組織化学 |
Research Abstract |
本科学研究費補助金を受けて行なうことが可能になった実験により、大別して次の3つの新しい知見が得られた。 1)通常の状態では、ラットの上顎歯髄及び根尖周囲組織に分布しているSubstance P(SP)含有神経線維の数はCalcitonin Gene-Related Peptide(CGRP)含有神経線維に比較するとやや少ない。 2)ラット上顎臼歯に対し歯髄炎及びそれに継発する根尖性歯周炎を惹起させると、その根尖周囲あるいは膿瘍の周囲にSubstance P(SP)の免疫反応を有する神経線維の著明なaxon sproutingがみられる。既にByersらによる同様の研究において、CGRP含有神経線維が歯髄炎の進展に伴ってsproutingすることは報告されている。今回の実験でもCGRP含有神経線維の同様の挙動は確認された。しかし、CGRPよりも薬理活性が高くまたその作用についてもよく知られているSPを含有する神経線維が炎症を起こした組織の周囲に分布してくることは、予想はされていたものの今まで確認されていなかった。したがって、この結果は、炎症に対する知覚神経の関与を探るうえで極めて興味深い。 3)ラットの根尖周囲膿瘍に分布してきた神経線維の大部分は、SPとCGRPを共存させている。免疫蛍光二重染色を施し観察した結果、炎症組織を取り巻くようにsproutingしてきた神経線維にこの共存が見出されたことは、炎症に関係する知覚神経末端からSPとCGRPが同時に放出される可能性を示している。予測の域を出ないが、SPとCGRPは互いにその作用を増強しているのかもしれない。 以上の知見をもとに、末梢での炎症反応と他の自律神経系の関与や、ヒトの根尖歯周組織の炎症病変と神経系の動態について検索を行なうのが今後の課題である。
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[Publications] T.ITOTAGAWA: "APPEARANCE OF NEUROPEPTIDE Y-LIKEIMMUNOREACTIVE CELLS IN THE RAT TRIGEMINAL GANGLION FOLLOWING DENTAL INJURIES." Archeives of Oral Biology. 38. 725-728 (1993)
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[Publications] T.ITOTAGAWA: "Co-existence of Substance P and Calcitonin Gene-Related Peptide in nerve fibers sprouting around experimental periapical lesion." Journal of Dental Research(Special Issue). 73. 121- (1994)