1993 Fiscal Year Annual Research Report
ラット切歯歯髄毛細血管周細胞の収縮能に関する形態学的研究
Project/Area Number |
05771479
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
田畑 正志 鹿児島大学, 歯学部, 助手 (40145503)
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Keywords | ラット / 切歯 / 歯髄 / 毛細血管 / 走査型電子顕微鏡 |
Research Abstract |
ラット切歯歯髄中に存在する血管、特に毛細血管と神経線維の立体構築を知ることにより、毛細血管周細胞の収縮能を明らかにする目的で本研究は行われた。グルタールアルデヒド潅流固定後、水酸化カリウムとコラゲナーゼの処理を行い通法に従い走査電顕で観察した。歯髄中の細動脈は数層の平滑筋から成る中膜を持つが、神経線維束はこれに伴行して歯髄中に進入する。これは無髄神経線維であり、血管収縮性であると考えられる。一方、歯髄中には有髄神経線維も存在し、これは血管の走行とは無関係に分布し、知覚性線維であると思われる。血管に伴行する神経線維は血管が分枝して細くなるごとに、細い神経線維束となり、毛細血管前括約血管(precapillary sphincter)の部位においては、約0.5mum径程になる。この血管の先は2-3本の枝に分かれ、これから先は毛細血管に相当する部位となる。神経線維は毛細血管前括約血管の部位から伸び出し、血管の分枝に従って分枝し、最後は約0.2mum径となって終わっている。それぞれの神経の終末は毛細血管の周細胞に付着しているが、内皮細胞にはその枝を伸ばさない。以上の観察結果より、毛細血管周細胞は無髄神経線維の支配を直接受けていることが、明らかになった。このことは、この細胞が収縮能を有しており、血流調節に働いていることを示唆するものである。最近培養下の周細胞に収縮能が証明されたり、あるいは免疫組織化学により周細胞の中間径フィラメントの構成蛋白は平滑筋細胞のものと一致するという報告がなされてきており、生体における、周細胞の血管収縮能が示唆されてきているが、今回の研究結果は神経支配の面からも毛細血管周細胞の収縮能の存在を支持するものである。
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