1993 Fiscal Year Annual Research Report
歯周病菌由来リポ多糖による単球およびマクロファージ細胞自壊の制御機構とその意義
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05771526
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Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
東 祐太郎 東京歯科大学, 歯学部, 助手 (80231918)
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Keywords | マクロファージ / アポトーシス / LPS / チロシンキナーゼ / 歯周病菌 |
Research Abstract |
本研究ではマウスマクロファージ様細胞P388D_1およびヒト単球系細胞U937を用い、血清末添加での培養による細胞死(アポトーシス)と各種マクロファージ活性化因子の細胞死への影響をトリパンブル一染色による細胞生存率を指標として解析した。さらにその際におこるチロシンリン酸化タンパクの変化を解析し、チロシンキナーゼの細胞死に及ぼす影響について検討した。 P388D_1およびU937はともに血清末添加での培養条件において DNAの切断をともなった細胞死をひきおこすが、この細胞死はマクロファージ活性化因子である LPS(E.Coi.Salmonella由来)やalpha-TNFにより用量依存的に阻害されることが認められた。マクロファージ活性化因子はそれ自身が細胞内タンパクのチロシンリン酸化を誘導するだけでなく、血清末添加による細胞内チロシンリン酸化タンパクの減少も抑制することが認められ、この細胞死におけるチロシンキナーゼの関与とそれに及ぼすマクロファージ活性化因子の影響が示唆された。またこの時のチロシンリン酸化タンパクのプロフィルは活性化因子により違いがみられ、各活性化因子による生存率の違いと関連して興味深いものであった。さらに歯周組織における検討の一端として歯周病菌B.gingivalis,E.corrodens,F.nucleatum由来のLPSを作用させたところ、同様に P388D_1およびU937の細胞死を抑制する効果が認められ、LPSをはじめとした歯周病菌由来産物が炎症時に免疫担当細胞の細胞自壊を抑制し、炎症反応の活性化と病態の悪化を増強させるものと示唆された。 以上の結果から歯周病菌由来LPSはその病原的な役割だけでなく、細胞の生体維持においてもチロシンキナーゼの活性化をともなって重要な役割を果たしていることが示唆された。今後、LPS以外の歯周病菌由来産物(サイトカインなど)が歯周組織における炎症細胞の細胞自壊機構にどのように関与しているのか解明するため、各種歯周病菌培養液上清や歯根膜線維芽細胞との共培養後の細胞自壊について検討し、微細環境下における細胞自壊及び細胞生命維持に関与する細胞内情報伝達系について解析したいと考える。
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Research Products
(1 results)