1993 Fiscal Year Annual Research Report
エンドトキシン由来の活性酸素ラジカルによる酵素機能障害作用の分子薬理学的解明
Project/Area Number |
05771532
|
Research Institution | Kanagawa Dental College |
Principal Investigator |
李 昌一 神奈川歯科大学, 歯学部, 助手 (60220795)
|
Keywords | LPS / Na^+,K^+-ATPase活性 / Ca^<2+>,Mg^<2+>-ATPase活性 / hydroxyl radical(OH) / 電子磁気共鳴(ESR)法 / 筋形質膜 / 筋小胞体 |
Research Abstract |
研究目標を「LPS由来の活性酸素ラジカルによる酵素機能障害の解明」に集約化した行われた実験の結果は以下のとおりである。 Escherichia coli由来LPSは雑種成犬心筋形質膜のNa^+,K^+-ATPase活性を濃度依存的(0〜1.0mg/ml)に抑制した。hydroxyl radical(OH)スカベンジャーであるdimethyl sulfoxide(150mM),dimethyl thiourea(30mM)はLPSのNa^+,K^+-ATPase活性に対する効果を抑制した。また,LPS自身の構造中よりOHが発生されることをDMPOをトラップ剤とした電子磁気共鳴(ESR)法を用いて同定し,口腔内細菌由来LPSにおいてもOH発生を確認できた。したがって,OHの直接的な酵素活性に及ぼす影響を検討した。OH産生系(0.66mMdihydrofumarate+2.2 muMFeCI_3+80 muMADP)はNa^+,K^+-ATPase活性を抑制し,superoxide dismutase(15 mug/ml),desferrioxamine(1mM)はこの効果を防御した。またOH産生系(0〜30mMH_2O_2+0.2mMFeSO_4)は雑種成犬咬筋小胞体のCa^<2+>,Mg^<2+>-ATPase活性を抑制した。catalase(10mug/ml),dimethylsulfoxide(150mM),dimethylthiourea(1mM)はOHのCa^<2+>,Mg^<2+>-ATPase活性に対する効果を抑制し,ESR法により得られたOHの信号強度に対しても抑制的に作用した。SH化合物であるcysteine(1mM)とthiolプロテクターであるdithiothreitol(0.1mM)はOHのCa^<2+>,Mg^<2+>-ATPase活性に対する効果を回復させた。 以上の結果からLPSの酵素機能障害作用機構にLPS自身の構造中より発生するOHが関与していることが確認され,その抑制機構にOHと酵素蛋白分子SH基の相互作用が関与していることが示唆された。
|