1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05771536
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Research Institution | Fukuoka Dental College |
Principal Investigator |
西浦 利博 福岡歯科大学, 歯科部, 講師 (40140868)
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Keywords | シスタチン / 唾液 / 顎下腺顆粒管細胞 / アンドロゲン / 骨吸収 / 血中カルシウム / システインプロテイナーゼインヒビター |
Research Abstract |
ラット唾液シスタチン(以下シスタチンと略記)に関して以下の知見を得た。 1.シスタチンの雄性ホルモン応答 ラット(雌)に雄性ホルモンのテストステロンを投与した後、顎下腺唾液中のシスタチン含量を酵素免疫測定法によって、またシスタチンの局在性を免疫組織化学的に検討した。 (1)メソキサミン刺激顎下腺唾液のシスタチン量はテストステロン7日間投与によって有意に増加し、約10倍に達した。また、Western-blottingによってもシスタチンの誘導が確認できた。 (2)顎下腺顆粒管細胞のシスタチンの染色性はテストステロン投与によって増強された。 2.骨吸収抑制活性 ラット(雄、4週令)に低カルシウム食を1週間与え、システインプロテイナーゼインヒビターのE-64およびシスタチンを投与し、3および6時間後の血中カルシウム(Ca)濃度をOCPC法により測定し、骨吸収活性を判定した。 (1)E-64を5および2.5mg/100g体重の割合で腹腔内に投与したところ、血中Ca濃度は減少傾向を示したが、有意差は得られなかった。また、0.5mg/100g体重の割合で静脈内投与をしたが血中Ca濃度に変化は認められなかった。 (2)シスタチンを8mg/100g体重の割合で腹腔内に投与し検討したところ、血中Ca濃度は減少傾向を示したが、有意差は得られなかった。血中Ca濃度から骨吸収活性を判定しようとしたが微妙であった。最近、骨吸収のマーカーとしてコラーゲンの特異的な分解産物であるピリジノリンおよびデオキシピリジノリンが注目されており、これらの尿中排泄量を測定することにより骨吸収を判定することが最良であると考えられ今後検討したい。 (まとめ)顎下腺顆粒管細胞のシスタチンは雄性ホルモンによって調節されている可能性が示唆された。また、ラット唾液シスタチンの骨吸収抑制活性についてははっきりとした結果は得られなかった。
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