1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05771564
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
新井 嘉則 日本大学, 歯学部, 助手 (20212607)
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Keywords | 歯科 / 超音波 / 定量的診断 / A-mode / FFT / 減衰値 |
Research Abstract |
顎骨内に発生する腫瘍、嚢胞等の診断にあたっては、その内部性状を定量的に推測する事は診断上、重要な鑑別点となる。この点では現在、CT値が病変の内部性状を定量的に診断するために使用されているが、周囲の硬組織等の影響もあり、安定した値が得られていないのが現状である。 超音波による診断は、このような硬組織疾患に対しては、有効でないとされてきたが、近年の飛躍的な技術発展もあり、その可能性が考えられるようになってきた。そこで本研究では、皮質骨が膨隆した顎骨内病変の内部性状を、超音波により定量的に診断することを目的として、その基礎的実験を行った。 すなわち、ヒト乾燥半切下顎骨を使用して、頬側皮質骨の膨隆を伴った顎骨内病変を模したファントームを作成し、これを2基のA-modeトランスデューサー(中心周波数5MHz)と共に、自作の固定装置を使用して固定し、これらを周囲に吸音材を貼った水槽中に沈めた。得られたA-mode波形は、シンクロスコープを介してコンピュータに取り込み、高速フーリエ変換(FFT)を行い、周波数に対する減衰値を求めた。なお、測定は透過法にて行った。 この実験系を使用し、頬側皮質骨の厚さを2mm、1mm、0.5mmと変化させ、また併せて、ファントーム内の内容物を、水、ヒマシ油、肉と変え、それぞれの減衰値がどのように変化するかを測定した。その結果、皮質骨の厚さが菲薄化するにつれ、減衰値が減少する傾向を示し、また、水、肉、ヒマシ油の順で減衰値が増加した。さらに、周波数成分についても、水、肉、ヒマシ油の順で、低周波成分が上昇しかつ高周波成分が減少する傾向を示した。 今後は、音速についても検討し、さらに、反射法による実験も行っていく予定である。
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Research Products
(1 results)