1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05771583
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
中島 啓介 東京医科歯科大学, 歯学部・歯科保存学第二講座, 助手 (80227785)
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Keywords | A.actinomycetemcomitans / 血清抗体価 / 血清型抗原 / リポ多糖 |
Research Abstract |
Actinobacillus actinomycetemocomitansは限局型若年性歯周炎の原因菌として注目されている。近年,成人性歯周炎患者においても本菌に対する血清抗体価の上昇が認められ,その病巣から本菌が分離培養されると報告されている。1989年にCalifanoらは本菌の免疫主要抗原は莢膜上に存在している血清型抗原であると報告したが,1991年にSimsらはこのような抗原は菌体表層のリポ多糖であり,従来莢膜上に存在すると考えられていた血清型抗原はリポ多糖の一部ではないかと報告している。これらの研究の中で対象となった被験者はいずれも若年性歯周炎患者であり歯周炎患者の大部分を占める成人性歯周炎患者については検討されていない。今回の研究では,成人性歯周炎患者も含めた患者群において本菌に対する体液性応答を検討した。その結果,本菌の血清型bの菌株に対して高い血清抗体価を示す患者群の中には血清型bの菌株のみに対して高い抗体価を示す患者群(グループ1)と3つの血清型すべての菌株に対して高い抗体価を示す患者群(グループ2)の2つの患者群が存在していた。グループ1の患者が認識している抗原は血清型を決定している血清型6抗原と考えられ、この抗原は温フェノール・水抽出物の状態ではリポ多糖部分に強く結合していてデオキシコール酸ナトリウムのような界面活性剤を使うとリポ多糖部分から分離できることが明らかになった。また,グループ2の患者が認識している抗原は3つの血清型すべての菌株に共通の抗原と考えられ,この抗原は温フェノール・水抽出物の状態ではその抗原決定基がマスクされていることなどからリピドAあるいはコア多糖部分ではないかと考えられた。将来このような歯周炎患者の血清学的な検査結果を蓄積することにより歯周炎の免疫学的な診断法を確立できると考えられる。
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