1993 Fiscal Year Annual Research Report
CAD/CAMポーセレンインレーに応用するレジンセメントに関する研究-セメント層の厚径と辺縁封鎖性および摩耗性との関係-
Project/Area Number |
05771592
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
宇治郷 好彦 岡山大学, 歯学部, 助手 (50243465)
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Keywords | CAD / CAM / ポーセレンインレー / 試作レジンセメント / 摩耗 / セメントライン / 臨床観察 |
Research Abstract |
我々は、CAD/CAMポーセレンインレーの臨床観察を行い、現段階ではインレー体の適合性に問題があり、間隙をうめるレジンセメントの摩耗が早期より認められることを報告した。そこで本研究では、臨床観察を引き続き行い修復物の経時的変化を観察するとともに、実験的に摩耗試験を行い、セメント層の厚みとレジンセメントの耐摩耗性との関係について検討した。 実験1.臨床的研究 30歯のCAD/CAMポーセレンインレーの1年経過例について臨床観察を行った。セメントラインの摩耗は、咬合関係の緊密な症例において3カ月、6カ月経過時に1例、1年経過時に3例に認められた。また、直接臨床評価Aの症例のレプリカ模型のSEM観察ではほとんどの症例でレジンセメントの摩耗が認められた。 実験2.in vitro摩耗試験 フィラー含有量のみを変化させた3種の試作レジンセメント(60,70,80wt%)を用いた。牛歯に形成した箱型窩洞に通法に従いCAD/CAMインレーを作製し、レジンセメントで合着し摩耗試験を行った。レジンセメントの摩耗量は、いずれもインレー体、エナメル質より有為に大きな摩耗量を示した。また、セメント間ではフィラー含有量の多いセメントの方がより高い耐摩耗性を示した。またセメント層の幅を50〜300mumまで変化させ、セメントの摩耗に及ぼす影響について検討した所、すべてのセメントで、セメント層の幅が広くなると摩耗量が増大するという正の相関が得られた。また各セメント間で比較すると、セメント層の幅が狭いと、60、70、80wt%含有セメントとも摩耗量に明瞭な違いは認められなかったが、セメント層の幅が広くなるとフィラー含有量が耐摩耗性に大きく影響した。 以上より、レジンセメントの耐摩耗性を改良するためにはフィラー含有量の増加が効果的であり、またインレー体の適合性を向上させることが最重要であるという結論が得られた。
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[Publications] 伊澤俊次,糸田俊之,今濱俊博,濱和洋,宇治郷好彦,永峰道博,鳥井康弘,井上清: "CAD/CAMセラミックインレーの臨床成績(第1報)短期的観察" 日本歯科保存学雑誌. 36巻6号. 1649-1658 (1993)