1993 Fiscal Year Annual Research Report
熱可塑性材料ポリ-epsilon-カプロラクトンの歯科への応用--特に咬合採得材への応用--
Project/Area Number |
05771619
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
柳川 敏夫 昭和大学, 歯学部, 講師 (60175651)
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Keywords | 咬合採得材 / ポリ-epsilon-カプロラクトン |
Research Abstract |
ポリ-epsilon-カプロラクトンの歯科への応用、特に咬合採得材への応用の可能性を探るため、1)熱膨張特性および、2)寸法精度の測定を行った。1)においては咬合採得材のうち熱可塑性材料を、2)においては精度的に最も優れているとされている石膏系のキサンターナを用いポリ-epsilon-カプロラクトンと比較検討した。熱膨張特性の測定は、熱分析装置のTMA装置を用いて行った。寸法精度の測定は、支台歯形成後の咬合採得を想定し真ちゅう性モ-ルドモデルを作成し行った。つまり、形成歯を想定した基底部直径7mm、上底部直径6mm、高さ5mm(テ-パ-値1/5)の円錐台および、対合歯を想定した真ちゅう性の板より構成され、両者を咬合させた時両者間の間隙が約1mmとなるよう作成した。キサンターナ、ポリ-epsilon-カプロラクトン単体、および、ポリ-epsilon-カプロラクトンを特性リング(直径約8mmになるように作成したワイヤーリング)に付けた場合の3種類について測定した。モ-ルド上で咬合採得終了後再び各種咬合採得材をモ-ルドにもどした時の浮き上がり量を測定したところ、Xanthanoおよびホルダーなしのポリ-epsilon-カプロラクトンを用いた時はともに約10〜20mumの浮き上がりを示し、両者間に統計学的有意差は認められなかった。ホルダー付きのポリ-epsilon-カプロラクトンの場合、ほとんど浮き上がりを示さず、両前者に対し有意に低い値を示した。このポリ-epsilon-カプロラクトンは、軟化すると無色透明に、硬化すると白濁するといった特長を有している。この特長に合わせて軟化し咬合採得を行い、白濁しすぐに撤去しても同様に浮き上がらなかった。結局、このポリ-epsilon-カプロラクトンによって咬合採得を行った場合、モ-ルドへのもどり精度が優れ、かつ、操作可能な状態と撤去のタイミングを視覚で確認できるといった大きな利点を有している。今後、実際の臨床においてその精度を検討していく必要があると思われる。
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