1993 Fiscal Year Annual Research Report
咬合の変化が顎関節におけるグリコサミノグリカンの分布に及ぼす影響について
Project/Area Number |
05771765
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
長坂 浩 東北大学, 歯学部, 助手 (70217983)
|
Keywords | 下顎頭 / グリコサミノグリカン / 咬合変化 |
Research Abstract |
4週齢のWistar系雄性ラットを対照群と実験群の2群に分け、実験群は上下顎切歯部にレジン製の咬合挙上板を装着した。両群とも実験開始後1、2、4週目に全身麻酔下で4%Paraformaldehyde固定液を用いて潅流固定後、下顎頭部を摘出した。次に、浸漬固定、10%EDTA溶液による脱灰後、レジン包埋し、下顎頭矢状断切片を作製した。切片はH-E染色およびアルシアンブルー染色を施し、両群を比較観察した。さらに対照群の4週齢において、2-B-6,3-B-3モノクローナル抗体(生化学工業)を用いて免疫染色を施し、下顎頭前方、中央、後方の3領域を比較観察した。 その結果、咬合挙上1週目は対照群と比べ肥大軟骨細胞がほとんど消失し、軟骨細胞層のアルシアンブルーに対する反応生が減少した。2週目では、線維層および増殖細胞層の厚径が増加し、アルシアンブルーに対する反応性が1週目より増加した。4週目になると対照群と近似した。これは、咬合挙上によって下顎頭軟骨に負荷される生力学的環境の変化に対するプロテオグリカンの挙動変化と考えられた。 また、対照群の4週齢における下顎頭軟骨中央部2-B-6および3B-3抗体に対して線維層より下層のterritorial matrixに強い反応が、interterritorial matrixには弱い反応が認められ、特に3-B-3抗体に対しては細胞層間に反応性の違いが認められた。下顎頭軟骨前方および後方部は中央部と比較してinterterritorial matrixの反応が弱い傾向にあった。このことから、下顎頭軟骨のグリコサミノグリカンの分布には層特異性と領域差が存在し、生力学的に異なる環境下にあると考えられた。 現在、実験群として上下顎切歯および上顎臼歯削合による咬合低下群を追加し、同様の検討を行っている。さらに、関節円板、下顎窩表層軟骨においても検討を加えていく予定である。
|