1993 Fiscal Year Annual Research Report
歯原性腫瘍の局所浸潤における細胞接着分子の役割に関する研究
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05771789
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
板東 泰博 徳島大学, 歯学部・付属病院, 助手 (00208729)
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Keywords | エナメル上皮腫 / サイトカイン / 細胞接着分子 / 免疫組織染色 |
Research Abstract |
近年、数多くの細胞接着分子が発見され、それらの炎症性疾患における細胞浸潤あるいは腫瘍細胞の局所への浸潤または転移において重要な役割を演じていることが明らかにされつつある。今回われわれは顎骨に発生する歯原性腫瘍のうち代表的なものの一つであるエナメル上皮腫の局所浸潤における各種細胞接着分子の役割について研究を行った。またそれら細胞接着分子の発現調節に関与していると考えられているサイトカイン(IL-1alpha,IL-1beta,IL-6,TNFalpha)についても検討を加えた。 実験方法としては、手術で摘出されたエナメル上皮腫の一部を可及的にすばやく包埋剤(Tissue-Tek)に包埋し、液体窒素の中で凍結させた。Cryostatにて各ブロックより5mumの凍結切片を作成し、免疫染色に用いた。免疫染色は通法のごとくABC法にて行った。用いた一次抗体はポリクローナル抗体としてIL-1alpha,IL-1beta,IL-6を、モノクローナル抗体としてTNFalpha,ならびに細胞接着分子のICAM-1,E-selectin,VCAN-1を用いた。発色はDABにて行い、マイヤーヘマトキシリンにて核染した後各分子の局在を顕微鏡下に観察した。 用いられたエナメル上皮腫は5例で、うち1例はplexiform type,4例はfollicular typeであった。IL-1alphaならびにIL-6は腫瘍細胞およびその周囲の血管内皮細胞で陽性であった。興味あることにIL-1beta,TNFalphaは陰性であった。E-selectinは全例において血管内皮細胞にのみ陽性であった。ICAM-1は腫瘍細胞と周囲のわずかな血管内皮細胞に局在していた。最も興味がもたれたのはVCAM-1の局在であった。plexiform typeにおいて腫瘍実質の一部に強陽性に染色され、follicular typeのうち1例においてはfibroblastに強く局在がみられた。VCAM-1は悪性腫瘍の浸潤や転移への関与を示唆する報告もあり、本疾患における同分子ならびにそのIigandの局在を解明することは意義あるものと考えられた。
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