1993 Fiscal Year Annual Research Report
唇顎口蓋裂患者に対するHotz型人工口蓋床使用による哺乳改善効果の検討
Project/Area Number |
05771799
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
徳永 拓也 鹿児島大学, 歯学部, 助手 (70217488)
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Keywords | Hotz床 / 唇顎口蓋裂 / 哺乳 |
Research Abstract |
口唇裂口蓋裂児の哺乳障害は,出生直後より見られる重篤な障害の1つであり,その後の成長に大きな影響を与える。このような患児の哺乳障害に対して,最近,Hotz床が哺乳障害改善に有効であるとされているが,Hotz床使用による哺乳量の変化,哺乳時間の短縮などに関する詳細な研究はあまりなされていない。そこで,今回,Hotz床による哺乳改善効果を定量的に分析するために電磁血流計を用いてHotz床装着前後の哺乳流量を計測し,コンピュータ用流量面積計測プログラムで測定結果を分析比較した。 対象は,鹿児島大学歯学部附属病院第二口腔外科を受診した唇顎口蓋裂児4名で,当科初診後1週間以内に上顎の印象採得を行いHotz床を作製し,Hotz床装着に慣れた時期にHotz床装着時と非装着時の哺乳量を測定した。今回,データ分析用にプログラミングした流量面積計測プログラムは,電磁血流計による哺乳流量を連続10分間測定することが可能となり,哺乳流量の波形も正確に測定することができた。また,同時に最大哺乳流量および規定時間内の哺乳量が算出できた。 測定結果では,Hotz床装着前の最大哺乳量は平均0.74±0.07ml/secだったが,装着後は平均0.95±0.05ml/secと有意に増加した。また,Hotz床の装着により1秒間の哺乳量は,0.19±0.07mlから0.28±0.04mlと有意に増加した。さらに,哺乳流量の波形では,Hotz床装着時は非装着時に比べ,比較的規則正しい安定した波形が得られた。 以上の結果より,Hotz床装着により最大哺乳流量の増加と規定時間内の哺乳量増加の傾向が認められ,Hotz床装着は唇顎口蓋裂児の哺乳障害改善に有用であることが示唆された。
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