1993 Fiscal Year Annual Research Report
動画像解析システムを用いた電気的パラトグラムと顎運動の同期解析-下顎再建前後の構音および咀嚼機能の検討-
Project/Area Number |
05771813
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
松田 千春 昭和大学, 歯学部, 助手 (90229485)
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Keywords | 口腔癌 / 構音障害 / 舌切除 / 下顎切除 / 舌再建 / 下顎再建 |
Research Abstract |
口腔癌による舌、口底、下顎などの広汎切除症例においては、構音障害、咀嚼障害、嚥下障害などの種々の術後障害が惹起され、社会復帰への重大な妨げとなることが多く、近年ではそれらの障害の対策として舌、口底、下顎などの口腔再建術がさかんに行われるようになってきている。 しかし術後機能障害の評価方法に関しては、未だ定性的なものが多く、障害の程度についての実態は不明な点は少なくない。さらに口腔再建術の有用性についての客観的な評価方法も十分確立されているとは言えない。 今回われわれは、口腔機能ために重要な役割をもつ舌、下顎の構音運動について、健常者、舌切除症例、下顎切除症例、および舌再建症例、下顎再建症例を対象に検討した。検討に用いたシステムは電気的パラトグラフィー(以下EPG)、サウンドスペクトログラフィー(以下SG)を含む医用動画像解析システムで、構音時の舌運動、下顎運動を客観的に評価した。 その結果、舌切除症例では子音産生時において下顎運動中のいわゆる最小開口位が、健常者に比べ、上方に位置し、下顎の代償機構が働いていることが考えられた。また下顎再建症例においてはその運動軌跡は側面像については健常者に近く、また正面像においてはやや軌跡の乱れがみとめられたものの、下顎切除後の非再建例に比べ健常者に近い構音運動が観察され下顎再建の有用性が示唆された。 EPGについては広汎な舌、下顎切除症例では舌、口蓋接触が非対象になるなどの異常所見が認められ、またSGについては舌切除症例では/t/音産生時にいわゆるスパイクフィルが不明瞭になるなどの異常所見が認められた。
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