1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05771912
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
難波 法道 川崎医科大学, 医学部, 助手 (70237634)
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Keywords | 咬筋 / 神経筋単位 / 発射間隔 / 等尺性収縮 / 筋機能の分析 / 骨格性下顎前突 / 反対咬合 / 自発性発射 |
Research Abstract |
【緒言】骨格性下顎前突者においては上下顎の前後的不調和にともない、臼歯部交叉咬合、反対咬合ならびに開咬などの咬合異常を伴うことが多い。さらにこれらの形態的な条件が神経筋機構に影響を与え、不正咬合を増悪させるような異常な顎運動を惹起すると考えられている。ヒトの閉口筋は相動性NMU(神経筋単位)と緊張性NMUとから成り、筋の担う役割に基づき機能分化していると考えられている。顎顔面骨格の形態異常がこれらの神経筋機構に与える影響、ならびに外科的矯正治療による顎顔面骨格の形態変化に伴う咀嚼筋の神経筋機構可塑的変化の性質を調べることにより、不正咬合の成立を顎顔面骨格の形態異常と神経筋機構との相互作用という観点から理解することが可能となると考えられる。そこでこれらの研究の一環として、まず骨格性下顎前突者の咀嚼筋の神経筋機構がいかなる性質を有するかについて調べた。 【方法】被験者は骨格性下顎前突と診断され、将来下顎骨骨切り術の施行を予定している成人とした。咬筋NMUの活動は難波らの方法に準じて解析した(日矯歯誌 51(3):1992)。 【結果】骨格性下顎前突者の咬筋NMUのtau^^--S関係を調べた結果、低頻度発射域(130<^^-<250ms)に比較的安定な発射を示すNMU(25<S<70ms)は認められなかった。したがって、骨格性下顎前突者の咬筋から得られたtau^^--S点群はskeletal1の骨格を有する成人の咬筋から得られたT曲線の水平部分とK曲線のまわりに分布しており、T曲線の上昇部分のまわりに分布するものは認められなかった。また、咬筋NMUの約10%のものは下顎安静位において自発性発射を示した。 【考察】以上の実験結果から骨格性下顎前突者においては咬合関係と顎顔面骨格の形態的な特異性にともない、咬筋NMUの機能分化が一部認められないことが示唆された。即ち、骨格性下顎前突者の咬筋は緊張性NMUを一部欠くことが示唆された。
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Research Products
(1 results)