1993 Fiscal Year Annual Research Report
ムラサキ培養細胞におけるフェノール性化合物の生合成と集積機構に関する研究
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05771922
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
矢崎 一史 京都大学, 薬学部, 助手 (00191099)
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Keywords | ムラサキ / p-hydroxybenzoic acid / p-O-beta-D-glucosylbenzoic acid / プロトプラスト / 液胞 / 細胞内局在性 / glucosyltransferase / beta-glucosidase |
Research Abstract |
LS培地にて培養したムラサキ培養細胞を2%セルラーゼオノズカRS及び0.5%ペクトリアーゼを含む0.7Mマニトールで処理し、プロトプラストにした。これを十分に洗浄した後、1mMdithiothreitolを含む0.2MK_2HPO_4(pH8.0)溶液に再懸濁し、pH及び浸透圧ショックにより細胞膜を破壊して、液胞を遊離させた。この液胞懸濁液をナイロンメッシュを用いて濾過し、遠心法にて精製して、液胞をペレットとして単離することに成功した。このようにして得たプロトプラストと液胞におけるp-hydroxybenzoic acid(PHB)及びその配糖体p-O-beta-D-glucosylbenzoic acid(PHBOG)の含量は逆相HPLCを用いて定量した。一方、定量分析に用いたプロトプラスト及び液胞懸濁液は、別途希釈し、その密度と大きさを血球計算板を用いて測定し、懸濁液中の全プロトプラスト体積、全液胞体積を算出した。この数値と先のHPLCによる定量値より,PHBOGの含量はプロトプラスト10^6個当たり116nmol,液胞10^6個当たりで104nmolと算出され、細胞内ではその約90%が液胞に局在していることが明らかとなった。アグリコンのPHB含量は配糖体のそれに比べると低いが、プロトプラス10^6個当たり4.1nmol、液胞10^6個当たりで4.4nmolと、やはりそのほとんどが液胞に存在すると判明した。また、この配糖体の生合成酵素PHB-glucosyltransferaseと分解系の酵素beta-glucosidaseの活性についても同様の検討を行なったところ、両酵素とも液胞内には活性がほとんど認められず、細胞質内に存在することが示された。さらに単離液法を用いて、^<14>C-標識PHBとPHBOGの取り込み実験を行なったところ、僅かであるがPHBOGが液胞へ取り込まれる傾向が観察された。以上の結果から、PHBは細胞質内で効率良く配糖化された後、液胞膜を通過し,PHBOGの形で液胞内に蓄積されていることが示唆された。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Mamoru Tabata: "Inhibition of shikonin biosynthesis by photodegradation products of FMN" Phytochemistry. 32. 1439-1442 (1993)
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[Publications] Masato Tani: "Effects of oligogalacturonides on biosynthesis of shikonin in Lithospermum cell cultures" Phytochemistry. 34. 1285-1290 (1993)