1993 Fiscal Year Annual Research Report
金属選択的配位概念を基盤とする有機銅の不斉共役付加反応
Project/Area Number |
05771923
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
金井 求 大阪大学, 産業科学研究所, 助手 (20243264)
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Keywords | 有機銅 / 不斉共役付加反応 / 金属選択的配位概念 / キラル配位子 / キラルアミドホスフィン / NMR / 立体選択性逆転 / リチウムシアノクプレート |
Research Abstract |
有機銅試薬の不斉共役付加反応を高不斉選択的に達成するため、キラル配位子設計指針の確立を目的とした。その結果、有機銅を構成するリチウムと銅の2種類の金属に対し、それぞれ選択的に配位するカルボニル酸素とホスフィンを配位原子として有するキラルアミドホスフィンが、高い不斉誘起能を発揮することを見いだした。すなわち、リチウムジメチルクプレートはキラルアミドホスフィン配位子の制御下カルコンに付加し、工一テル溶媒中84%eeのS付加体が得られた。この高い不斉誘起能が酸素とリンの金属選択的配位能に起因することが、NMRにより示された。すなわち、キラルアミドホスフィン配位子に過塩素酸リチウムを加えたときには酸素のまわりの13C‐NMR化学シフトが、臭化銅ジメチルスルフィド錯体を加えたときにはリンのまわりの化学シフトが、それぞれ選択的に変化することが分かった。また、反応活性種であるリチウムジメチルクプレートとの錯体では、リチウムと銅をそれぞれ別々に加えた状況を足し合わせたような結果が得られ、実際の反応においても金属選択的配位がおこっていることが確認できた。 次に反応溶媒の検討を行ったところ、リチウムへの配位力の強いテトラヒドロフランやジメトキシエタン中では、立体選択性が逆転することが分かった。即ち、リチウムジメチルクプレートのカルコンへの付加反応をTHF溶媒中で行うと、50%eeのR付加体が得られた。NMRより、THF溶媒中ではキラルアミドホスフィン配位子は、リンのみが銅に配位した単座型として機能することが分かった。同じ配位子が二座型で働くか、単座型で働くかにより、立体選択性が逆転する興味深い例である。さらに現在は、リチウムシアノクプレートのシクロアルケノンの付加反応においても同じ配位子が高い選択性を示すことを見いだしている。今後、その構造論的要因の解明を行っていく予定である。
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[Publications] Motomu Kanai et al.: "Asymmetric Conjugate Addition of Organocopper-Amidophosphine Reagents to Cycloalkenones." Tetrahedron Letters. 35. 895-898 (1994)
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[Publications] Motomu Kanai et al.: "Solvent Effect and NMR Behaviour in a Chiral Amidophosphine Mediated Reaction of Organocuprate with Chalcone." J.Chem.Soc.,Chem.Commun.1248-1249 (1993)
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[Publications] Motomu Kanai et al.: "Enantioselective Conjugate Addition of Organocuprate Using a Chiral Amido-phosphine Ligand." Tetrahedron Letters. 33. 7193-7196 (1992)
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[Publications] Kiyoshi Tomioka et al.: "An Expeditious Total Synthesis of Dolastatin 10." Tetrahedron Letters. 32. 2395-2398 (1991)