1993 Fiscal Year Annual Research Report
メソ化合物の酵素による不斉認識を利用したシクリトール類の合成
Project/Area Number |
05771929
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
田中 正一 九州大学, 薬学部, 助手 (00227175)
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Keywords | 酵素加水分解 / トランスエステル化 / アロサミゾリン / シクリトール / リパーゼ / メソ化合物 |
Research Abstract |
7位置換ノルボルナン誘導体より、オゾン分解、還元、アセチル化により、効率的に、かつ立体選択的にメソの1、3-ビスアセトキシメチルシクロペンテン誘導体を合成する方法を確立するに至った。合成したメソジアセテート基質に対して酵素リゾプスデレマ-リパーゼを用いた不斉加水分解反応を検討したところ、得られるキラルなモノアセテートは、きわめて高光学純度であることが判明した。また、置換基として、ブチル基を有する基質に対しては、対応するメソのジオールの酵素シュードモーナスフルオレセンスリパーゼを用いた不斉トランスエステル化反応も検討した。トランスエステル化により得られるキラルなモノアセテートは、加水分解で得られる化合物のエナンチオマーであり、しかも、高光学純度の化合物であることが判明した。キラルなモノアセテートは、文献既知の化合物に誘導することにより、その絶対配置を決定するに至った。キラルなアセテートから、キチナーゼ阻害活性を有するシクリトール天然物アロサミゾリンの合成を次の3ルートより検討した。(1)オレフィンをオスミウム酸化後窒素を導入し、その後、減炭を行なう方法。(2)メチルケトン誘導体に変換後、バイヤービリガー反応を行ない減炭する方法。(3)エキソオレフィンにし、オゾン分解により減炭し、その後、窒素を導入する方法。現在のところアロサミゾリンの合成は成功していないが、第3のルートにより減炭を行なうことには成功を治めた。また、この酵素反応により得られたキラルなモノアセテートは、各種シクリトール誘導体合成の重要キラルビィルディングブロックとなると考えられる。
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