1993 Fiscal Year Annual Research Report
脳虚血/再灌流時における脳内サイトカイン類の動態に関する分子生物学的研究
Project/Area Number |
05771974
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
南 雅文 京都大学, 薬学部, 助手 (20243040)
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Keywords | サイトカイン / インターロイキン-1beta / インターロイキン-1受容体 / ミクログリア / 血管内皮細胞 / 脳虚血 |
Research Abstract |
サイトカインあるいはその受容体のmRNAの産生細胞を同定する方法として脳を構築する各種細胞のマーカーとなるタンパクあるいは糖鎖にたいする抗体による免疫組織染色とサイトカインあるいはその受容体に対するin situ hybridizationを同一切片上で行うことを試みた。アストロサイトのマーカーであるGFAPに対する抗体を用いた実験により、カイニン酸で発現が誘導されるIL-1betamRNAの産生細胞はGFAP陰性のグリア細胞、おそらくは、ミクログリアであることが判明した。さらに、4血管閉塞モデルおよび中大脳動脈閉塞モデルによる脳虚血によっても脳内でIL-1betamRNAがグリア細胞と考えられる細胞および血管内皮細胞で発現することを明らかにした。そこで、ミクログリアのマーカーであるMac-1に対する抗体による免疫組織染色とin situ hybridizationによる二重染色を試みたが、GFAPの場合と異なり、抗Mac-1抗体は本方法には適しておらず二重染色することができなかった。そこで、放射性標識したRNAプローブとジゴキシゲニン標識したRNAプローブを用いたin situ hysridizationによる二重染色法を新たに開発した。この方法により、神経細胞のマーカーである神経特異的エノラーゼのmRNAとIL-1受容体type1mRNAが同一の細胞で発現していること、すなわち、IL-1受容体type1mRNAが神経細胞で発現していることを明らかにした。また、IL-1受容体type1mRNAは血管内皮細胞でも発現していることが判明し、これらの知見は、脳虚血時においてIL-1betaが血管内皮細胞で産生され、それがautocrineあるいはparacrineにより作用し好中球やマクロファージなどの脳実質への浸潤を促進している可能性を強く示唆している。さらに、本方法によりIL-1betamRNA産生細胞を固定するためラットGFAPおよびMac-1のcDNAをクローニングした。また、ラットIL-1beta変換酵素cDNAの部分配列もクローニングした。
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