1993 Fiscal Year Annual Research Report
部位特異的遺伝子変異法によるスルホトランスフェラーゼの構造活性相関の解明
Project/Area Number |
05771990
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
小倉 健一郎 東京薬科大学, 薬学部, 助手 (10185564)
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Keywords | スルホトランスフェラーゼ / cDNAクローニング / ヒドロキシステロイドスルホトランスフェラーゼ / 発現 / 部位特異的変異 / ラット肝 / 大腸菌 / アミノ酸置換 |
Research Abstract |
筆者らは、既にラット肝ヒドロキシステロイドスルホトランスフェラーゼ(HST)の主アイソザイム(STaと命名)を単離・精製しcDNAクローニング法によりその全一次構造を初めて明らかにした。さらに筆者らは大腸菌中に発現・精製させた発現STaはラット肝より精製したSTaと全く同じ活性ならびに挙動を示すことを明らかにした。本研究では、各種STアイソザイムの一次構造上強く保存されているアミノ酸残基の機能を明らかにするために、部位特異的遺伝子変異法により特定のアミノ酸残基を置換したSTaを大腸菌中で発現させ、その活性について以下に示す方法を用いて検討を行った。 1.変異cDNAの作成:STaをコードするST-40cDNAの翻訳領域中アミノ酸残基置換を起こす部位に相当するコドンにミスマッチを導入したオリゴヌクレオチドプライマーを合成し、ST-40cDNAをテンプレートとしてsplicing by overlapped extention法に従い変異cDNAを増幅した。なお、変異cDNAはSTaを構成する254残基のアミノ酸中3箇所のリジン残基をグルタミン残基に変異させたものを作成した。 2.発現プラスミドの構築:得られた3種の変異cDNAをそれぞれ大腸菌発現ベクターpKK223-3に組み込み発現プラスミドを構築した。構築した発現プラスミドから制限酵素により切り出した変異cDNAの塩基配列をジデオキシ法により解析し、変異の導入を確認した。 3.変異STaの酵素活性:3種の発現プラスミドにより形質転換した大腸菌の可溶性画分を調製し、抗STa抗体によるウエスタンプロット分析を行った。その結果、いずれの系においても非変異STaと同一分子量の変異STaがほぼ等量発現しており、全長が翻訳されていることが確認された。さらに、これらの可溶性画分についてHSTの特異的基質であるデヒドロエピアンドロステロンに対する活性を測定した結果、43および254番目のリジンをグルタミンに変異させたSTaの活性が全く失われていることが明らかになった。なお、114番目に同様の変異を導入したSTaの活性には大きな変化は認められなかった。 以上、本研究によりSTの硫酸抱合活性発現にリジン残基が重要な役割を果たしていることが分子レベルで初めて明らかになった。
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