1993 Fiscal Year Annual Research Report
末梢性並びに中枢性痛覚過敏の発現機構に関する研究-NO〜cyclicGMP系及びプロスタグランジン〜cyclicA系の役割について-
Project/Area Number |
05772005
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Research Institution | Fukuyama University |
Principal Investigator |
中村 明弘 福山大学, 薬学部, 講師 (70172393)
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Keywords | 痛覚過敏 / 一酸化窒素 / サイクリックAMP / サイクリックGMP / ブラジキニン / プロスタグランジンE_2 / アデノシン / セロトニン |
Research Abstract |
1.行動薬理学的手法を用いた痛覚過敏発現機構の検討:実験動物としてはラットを用い、痛覚過敏の指標となる疼痛閾値の測定には加重刺激を加えるRandall‐Selitto法を用いた。薬物はすべて足甲部皮内に投与した。 (1)cyclic AMP(cAMP)及びcyclic GMP(cGMP)誘導体の投与:両cyclic nucliotidesの膜透過性誘導体をそれぞれ単独で投与した場合には有意な痛覚過敏は発現しなかったが、両者を同時併用投与した時には有意な痛覚過敏が用量依存性に発現した。また両者の投与時間を5分前後させても同程度の痛覚過敏が発現した。 (2)炎症のchemical mediatorsによって発現する痛覚過敏へのNO〜cGMP系の関与:bradykinin(BK),adenosineあるいはkainic acid投与によって発現する痛覚過敏は、NO合成酵素阻害剤であるN^G‐nitro‐L‐arginie methyl ester(L‐NAME)の併用投与により完全に抑制された。一方、prostaglandin E_2やserotonin(5‐HT)による痛覚過敏の発現はL‐NAMEによってほとんど抑制されなかった。 2.cGMPとcAMPの定量による痛覚過敏発現機構の検討:ラット足甲部の水疱底部を潅流し、組織より灌流液中に遊離するcGMP量とcAMP量を調べる方法を確立した。そこで、BKを灌流部位に投与したときのcGMPとcAMP量の変化を調べたところ、両cyclic nucliotidesの遊離量はBKにより有意に増加した。さらにBKをL‐NAMEと同時投与すると、BKによるcGMP遊離量の増加は有意に抑制されたが、cAMP量は有意な影響を受けなかった。 3.まとめ:上記の研究結果より、(1)末梢においてchemical mediatorsが痛覚過敏を誘発する機構には、cGMP系とcAMP系の両second messenger系の活性化が関与していること、(2)BK,adenosine,glutamateはNOを介してcGMP系を活性化していることが明らかとなった。
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Research Products
(1 results)