1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05772057
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
福地 邦彦 昭和大学, 医学部・臨床病理, 講師 (70181287)
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Keywords | 鉄キレート / c-fos / c-myc / アポトーシス / ストレス蛋白 |
Research Abstract |
神経芽細胞腫細胞株を材料とし、細胞内鉄キレートによるS期での細胞増殖抑制に伴う増殖関連のオンコジーンの異常発現とその機序の解析を行った。鉄キレート剤にはdeferoxamine(DFO)を使用し、オンコジーンの発現はモノクローナル抗体を使用してFACSで定量、およびRNA dot blot hybridizationで行った。 10^<-5>M DFO,48h処理により増殖抑制は顕著になり、この細胞で本来発現しているN-mycは変化はしなかったが、c-myc、c-fosの発現亢進が観察された。細胞処理時に等モルの鉄イオンを添加したところ、オンコジーン発現には影響が認められなかったことから、鉄キレートがこれらの現象に必須と考えられた。鉄キレートから、オンコジーン発現異常へ導かれる経路を解析するため、以下に示す実験を行なった。 DFO処理による細胞内鉄キレートでは、PKC活性に変動は認められなかった。c-fosはRNAレベルでも発現亢進が観察され、PKC活性化を伴わない転写制御機構の存在も示唆された。TfRおよびferritinの発現の変動は、鉄キレート後の細胞がIron Responsive Element(IRE)により正常に反応したことを示した。また、同時に測定した、細胞に恒常的に活性の認められるCreatine kinase活性にも低下は認められなかった。即ち、鉄キレート後も細胞の転写・翻訳機構は正常に保たれていた。 さらに、鉄キレート後の細胞はHSP70および90を過剰発現しており、鉄キレートによる細胞のストレス応答を示唆した。 また、鉄キレート後の細胞のDNAを抽出し、電気泳動解析を行ったところ、fragmentationが観察されことから、鉄キレート後が細胞にapoptosisを誘導することが明らかになった。以上の実験結果から、鉄キレートによるc-mycおよびc-fos発現亢進などの細胞の一連の反応は、apoptosisを導くprocessと考えられた。
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Research Products
(1 results)