1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05780140
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
曽根 敏雄 北海道大学, 低温科学研究所, 助手 (10222077)
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Keywords | パルサ / 永久凍土 / 大雪山 / 泥炭 / テフラ / ボーリング / アイスレンズ |
Research Abstract |
パルサは内部の永久凍土核の発達に伴い、周囲よりも盛り上がって成長していく。湿原のなかで、周囲より少しでも地表が上昇すると水分環境が湿潤から乾燥状態へと変化し、そこで形成される泥炭の質も変化する。したがって地表付近の泥炭層の質の変化した時代を調べることにより、パルサが周囲よりも盛り上がり始めた期が推定できる。泥炭層中にはテフラ層が数枚あり、年代の推定に有効に利用できた。この方法により、パルBと名付けたパルサは約A.D.1830年に盛り上がり始めたことが判明した。また泥炭の堆積年代の推定のため泥炭の基底部の試料を採取し^<14>C年代測定を依頼した。 パルサBの永久凍土を貫くボーリングにより、パルサの内部構造を調査した。パルサB内部の永久凍土核の底は地表下約5mであった。ボーリングにより得られたコアサンプルは現在解析中(熱伝導率・含水率の測定・度分析・アイスレンズの解析)であるが、表層の泥炭の下は砂・礫・シルトであり、シルト中に多数のアイスンズの析出が観察できた。これまで世界的にはパルサのボーリングはよく行われてきたが、コアの記載や解析はほとんどない。これらはパルサの発達について考察するうえでも基本的な資料であり、大切に扱いたい。まボーリングによる孔を利用し、地温測定装置を設置した。 今回の調査で、パルサの形成開始年代の推定方法が有効であることが判明した。調査許可の関係により他のルサについては調査が行なえなかったが、今後調査を行ない、これまで日本で考えらえてきた気候変動とパルの形成年代との関係を検討したい。
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