1993 Fiscal Year Annual Research Report
学校教育へのコンピュータ・ワープロの導入に関する基礎的研究
Project/Area Number |
05780160
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Research Institution | Joetsu University of Education |
Principal Investigator |
西川 純 上越教育大学, 学校教育学部, 助手 (80218130)
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Keywords | 活字文字 / 手書き文字 / ワープロ / コンピュータ |
Research Abstract |
本研究は学校教育へコンピュータ・ワープロが導入されるに伴い、手書き文字が活字文字に置き換わることの影響を実証的に明らかにすることを目的としている。そのため、本年度は以下の調査を行った。被験者に同一内容の文章を、活字文字、手書き文字(達筆)、手書き文字(悪筆)の3種類で与え、その文書を正しいと思うか、否かを判断させた。 調査内容は数学の証明(無限に関係する誤った証明)と、他国の文化振興に対する我々の援助に関する随筆を選んだ(岩城1990)。前者は正誤は確定されているが、後者は読者の価値観によって正誤は異なる。 この調査問題を活字文字の調査問題とした。この問題用紙にトシーシングペーパーを張り付けて達筆者及び悪筆者に渡した。そして、本研究の出題意図を説明し、字の大きさ、字・行間隔は、ワープロで作成した文章にできるだけ近づけるよう指示した。被験者をほぼ3群に分け、それぞれに3種類の調査問題を与え、回答させた。各群には中学校1、2、3年の各2クラスが含まれる。回答時間は約15分である。 結果をまとめると、以下の2点にまとめられる。 1.文章の説得力では、達筆と悪筆に差が見られなかった。 2.価値判断を伴う文章では活字は手書き文字以上の説得力を持っていた。 以上の結果から、価値判断を含む文章の場合、手書き文字から活字文字に教育媒体が換わる時、学習者の受け止め方により大きな変化が見られることが予想される。一方、数学の証明などの価値判断を含まない文章の場合、活字文字に変わっても変化は少ないと予想される。
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