1993 Fiscal Year Annual Research Report
シクロデキストリンとペプチドを用いた人工アロステリックシステムの構築
Project/Area Number |
05780418
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
山村 初雄 名古屋工業大学, 工学部, 助手 (80220440)
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Keywords | シクロデキストリン / ペプチド / アロステリック酵素 |
Research Abstract |
本年度は、シクロデキストリンとペプチドを用いた人工アロステリックシステムの合成を行った。先ず、アロステリックシステムの骨格を成すグルタミン酸ジペプチドを合成した。最初にグルタミン酸の側鎖gamma-カルボキシル基をベンジル基により保護した。次にそのalpha-アミノ基をt-ブトキシカルボニル基により保護した。この保護グルタミン酸の半分を用いて、さらにそのalpha-カルボキシル基のエチルエステル化を行った。このグルタミン酸エチルエステルのt-ブトキシカルボニル基をトリフルオロ酢酸で除去した後、残りの半分のグルタミン酸と縮合させた。基質結合部位として機能するシクロデキストリンは、グルタミン酸ジペプチドの2つのgamma-カルボキシル基を利用して導入することを計画した。そのためにbeta-シクロデキストリンの6-OHにトシル基を導入し、これを置換反応によりアジド基に変換し、さらにアミノ基に還元した。このアミノシクロデキストリンを、先に合成したグルタミン酸ジペプチドと、そのベンジル基を加水素分解で除去した後、縮合させた。この反応の生成物を逆相およびゲルろ過クロマトグラフィーを用いて分離精製した。 今後は、このジペプチドのアミノ末端およびカルボキシル末端を利用してピコリルアミド基を導入する。そして、この化合物中の2分子のシクロデキストリンが示す協同的包接能力が、銅イオンの存在の有無によって制御されるアロステリック効果がどのように発現するかを分光学的手法により明らかにする。
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