1994 Fiscal Year Annual Research Report
ホスホリボシルピロリン酸合成酵素遺伝子ファミリーの発現調節
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05780453
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
石塚 俊治 千葉大学, 医学部, 助手 (50232294)
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Keywords | ホスホリボシルピロリン酸合成酵素 / 遺伝子発現調節 / プロモーター / ヌクレオチド合成 / 酵素活性調節 / 代謝調節 |
Research Abstract |
ヌクレオチド合成の律速酵素であるPRPP合成酵素は触媒サブユニットとは別の活性調節蛋白質を含む。我々はこの蛋白質のcDNAクローニングに成功し(別研究)、PAP39と命名した。PAP39は触媒サブユニットに結合し、活性を抑制することから、その量的な変動が本酵素の活性を調節する可能性が出てきた。そこで本蛋白質の遺伝子発現調節機構をしらべることが重要となる。本年度はPAP39遺伝子プロモーターの単離と構造解析を第一の目的とし、併せてそのmRNA発現レベルをラット各臓器で比較した。この結果得られた成果は以下の通りである。 1.ラットゲノムライブラリーより本結合蛋白質の5゚上流領域の単離に成功した。その塩基配列を決定したところ、触媒サブユニット遺伝子と共通のAP-2結合部位、Sp1結合部位、cAMP responsive element等の発現制御領域が存在することが判明した。 2.他の遺伝子プロモーターとの相同性を検索したところ、PAP39と同様触媒サブユニットに結合し、活性を抑制するオルニチン脱炭酸酵素アンチザイムのプロモーターと共通配列が存在した。この共通配列の意味については今後の課題である。 3.転写開始部位を決定したところ、脳では2カ所、精巣では3カ所存在していた。このように組織特異的な開始部位を持つプロモーターは少なく、下記の臓器特異的の発現と併せ、今後の解析が必要と思われる。 4.脳、肝臓をはじめとするラット各臓器で、本酵素触媒サブユニットに対するPAP39のmRNA量比を決定した。その結果、mRNA量比は臓器によって異なっており、本酵素の調節的性質が組織ごとに変わる可能性が示された。 以上当初の目的である、PAP39プロモーターの構造解析とmRNAレベルの測定をほぼ完了することができた。今後は、CATアッセイ等で本プロモーターの機能解析を進め、配列上見いだされた制御領域の意義をしらべていきたい。
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