1993 Fiscal Year Annual Research Report
副腎皮質の各細胞層の機能分化に関する研究-ミネラロコルチコイド合成酵素あるいはグルココルチコイド合成酵素遺伝子の層特異的な転写因子の同定-
Project/Area Number |
05780466
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
向井 邦晃 慶応義塾大学, 医学部, 助手 (80229913)
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Keywords | 副腎皮質 / ステロイドホルモン / シトクロムP‐450 / ミネラロコルチコイド / グルココルチコイド / 転写因子 / 遺伝子発現調節 |
Research Abstract |
1.<ラットのグルココルチコイド合成酵素遺伝子CYP11B1のプロモーター内の調節エレメントの存在>プロモーター内の塩基配列に種々の欠失をつくり、CAT遺伝子につないで、これらの融合遺伝子を持つプラスミドを構築した。マウス副腎皮質由来のY1細胞にこれらのプラスミドを導入し、CATアッセイをおこなった。この遺伝子の転写開始点から‐314と‐252の間にプロモーター活性の正の制御配列が存在した。 2.<転写開始点から‐310から‐294の位置に蛋白質の結合部位の同定>転写開始点から‐314と‐252の間の塩基配列を含むプローブとY1細胞から調整した核抽出液をインキュベートすると、ゲルシフト法によりDNAと蛋白質の複合体が生じることがわかった。DNaseIをもちいたフットプリント法により、‐310から‐294までの塩基配列が蛋白質の結合によって覆われることがわかった。この塩基配列の中央に、転写調節蛋白質としてよく知られているAP‐1蛋白質の結合配列に似たもの(AP‐1様配列)が存在した。AP‐1様配列に結合する蛋白質は、この配列に対して、AP‐1蛋白質のコンセンサス認識配列に対してよりも強く結合した。このことから、AP‐1様配列に結合する蛋白質は、既知のAP‐1蛋白質とは異なる可能性が示唆された。 3.<AP‐1様配列がプロモーター内の重要な正の調節エレメントであること>AP‐1様配列の塩基配列を置換し、プロモーター活性をCATアッセイで調べたところ、活性は10分の1に減少した。以上からAP‐1様配列はプロモーター活性において、必須な配列であることが判明した。 4.<ミネラロコルチコイド合成酵素遺伝子CYP11B2にはCYP11B1見いだされたAP‐1様配列が存在しないこと>ゲルシフト法で、CYP11B1のAP‐1様配列への結合蛋白質がCYP11B2のプロモーター領域に結合しないことが判明した。CYP11B1とCYP11B2は副腎皮質内の異なる細胞層に発現するからAP‐1様配列が細胞層特異的な発現調節に関与している可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)