1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05780504
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
中別府 雄作 九州大学, 生体防御医学研究所, 助手 (30180350)
|
Keywords | FosB / △FosB / Rat3Y1 / 細胞分化 / 転写調節 / 神経細胞 |
Research Abstract |
Jun,Fosタンパク質は,Ap-1複合体として特定の遺伝子の発現を制御することにより種々の細胞の増殖、分化をコントロールすると考えられている。これまでにJun,Fosタンパク質の発現誘導を伴う細胞分化の系としてラット副腎髄質クロム親和性細胞(PC12細胞)のNGFによる神経細胞への分化が報告されており、Jun,Fosタンパク質が神経細胞の分化に関わる事が示唆されていた。本研究では、転写産物のスプライシングのパターンの違いにより2つのタンパク質FosBと△FosBをコードするfosB遺伝子に注目して細胞分化に於けるこの2つの遺伝子産物の生理的役割を解析し、以下の結果を得た。(1)FosBと△FosBタンパク質は共にマウス及びラットにおいては神経組織に特異的に発現する。(2)FosBあるいは△FosBタンパク質をRat3Y1細胞で過剰発現させたところ、この細胞は増殖を停止し、形態的に神経細胞に類似した細胞に変化した。(3)エストロジェンレセプターのエストロジェン結合ドメインとFosBおよび△FosBの融合タンパク質の発現系を構築し、エストロジェン処理によってこれらのタンパク質を活性化できるシステムを開発した。FosBあるいは△FosBはRat-1A細胞をトランスフォームするが、この細胞に上記の融合遺伝子を導入したところ、エストロジェン処理によってはじめて細胞のトランスフォーメーションが観察され、このシステムが有効な事が実証できた。(4)Rat3Y1細胞に上記の2つの融合遺伝子を導入し、エストロジェン非存在下において正常に増殖する細胞株を樹立した。これらの樹立細胞株はエストロジェン投与により、増殖を停止し、形態的変化起こすことが確認された。
|
-
[Publications] Y.,Nakabeppu,S.,Oda,M.Sekiguchi: "Proliferative activation of quiescent Rat-1A cells by △FosB." Molecular and Cellular Biology. 13. 4157-4166 (1993)
-
[Publications] K.,Nakazawa,L.,Karachot,Y.,Nakabeppu,T.,Yamamori.: "The conjunctive stimuli that cause long-term desensitization also predominantly induce c-Fos and Jun-B in cerebeller Purkinje cells." Neuroreport. 4. 1275-1278 (1993)
-
[Publications] T.,Ishibashi,Y.,Nakabeppu,M.,Sekiguchi.: "Artificial control of nuclear translocation of DNA repair methyltransferase." Journal of Biological Chemistry.22GD03:269. 7645-7650 (1994)
-
[Publications] A.,Iyama,K.,Sakumi,Y.,Nakabeppu,M.,Sekiguchi.: "A unique structural feature of rabbit DNA repair methyltransferase as revealed by cDNA cloning." Carcinogenesis. 15(in press). (1994)
-
[Publications] 中別府雄作: "fosB遺伝子と細胞増殖" 実験医学. 11. 1796-1803 (1993)
-
[Publications] 中別府雄作: "細胞増殖と転写調節" Mebio. 11. 84-90 (1994)
-
[Publications] 豊島久真男監修: "細胞増殖の制御" 南江堂, 293 (1993)