1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05780548
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
千葉 和義 東京工業大学, 生命理工学部, 助手 (70222130)
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Keywords | ヒトデ / 卵母細胞 / 1-メチルアデニン / GPT結合蛋白質 / cdc2キナーゼ |
Research Abstract |
ヒトデ卵母細胞は、ホルモンである1-メチルアデニン(1-MA)によって減数分裂を再開し成熟する。我々は平成4年度までに、1‐MAが卵表のレセプターと結合し、GTP結合蛋白質(G)のalphaサブユニット(Galpha)を活性化することを明らかにした。平成5年度はGalpha以降の情報伝達系を解明するために、Gのbetagammaサブユニット(Gbetagamma)の役割に着目した。 一般にGはalphabetagamma三量体で存在しており、ホルモンの刺激によってbetagammaからalphaが解離する。さらにalphaは特定の酵素と相互作用することにより、情報は伝達されていく。驚くべきことに、ヒトデ卵表より精製したbetagammaを卵母細胞へインジェクションしたところ、1-MAなしで卵は成熟した。この時、細胞質には卵成熟促進因子(MPF)が形成されていた。また、高活性のヒストンH1キナーゼも検出できたことから、Gbetagammaはcdc2キナーゼを活性化することが明らかとなった。Gbetagammaによって成熟した卵は、正常に受精して卵割したので、その作用は生理的であると考えられた。 もともとGbetagammaは細胞膜に存在しているので、その作用部位も細胞膜近傍にあると予想される。しかし、Gbetagammaのインジェクション部位を変えて検討したところ、卵核胞の附近>卵核胞>細胞膜の附近、といった順で、卵は早く成熟した。さらにGbetagammaを蛍光物質で標識してインジェクションしたところ、Gbetagammaは拡散せず、インジェクションされた部位にとどまることが確認できた。これらの結果は、Gbetagammaの作用点が細胞質内部にあることを示唆している。 Gbetagammaは直接cdc2キナーゼを活性化するのではなく、さらに別の分子が介在すると予想される。現在、蛋白質のリン酸化を指標として、Gbetagammaによって活性化される分子の単離を試みている。
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[Publications] Chiba,K.,Kontani,K.,Tadenuma,H. Katada,T. and Hoshi,M.: "Induction of starfish oocyte maturation by the betagamma subunit of starfish G protein and possible existence of the subsequent effector in cytoplasm" Molecular Biology of the Cell. 4. 1027-1034 (1993)
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[Publications] Ushiyama,A.,Araki,T. Chiba,K., and Hoshi,M.: "Specific binding of acrosome-reaction-inducing substance to the head of starfish spermatozoa" Zygote. 1. 121-127 (1993)
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[Publications] Shogomori,H., Chiba,K., Kubo,H., and Hoshi,M.: "Non-plasmalemmai localisation of the major ganglioside in sea urchin eggs" Zygote. 1. 215-223 (1993)