1993 Fiscal Year Annual Research Report
カラム内集団協力活性に基づく神経振動子記憶モデルの統計力学的研究
Project/Area Number |
05780604
|
Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
深井 朋樹 東海大学, 工学部・電子工学科, 助教授 (40218871)
|
Keywords | 振動子ネットワーク / 連想記憶 / 同期現象 / オッシレータ・デス / 時系列処理 / カラム構造 |
Research Abstract |
カラム内の集団的神経活動を記述するために、Wilson-Cowan型の興奮、抑制性神経間の相互作用により振動状態を呈する振動子を用い、以下の点について明らかにした。1)記憶情報処理を可能にする結合はどの様なものか2)記憶情報処理を表現する力学系のアトラクターはどの様なものか3)統計力学的なモデルとの関連はどうなるのか4)特に時系列処理の問題はどう扱われるか。 先ず、振動子間の相互の結合を、いわゆる2値のランダムなパターンを埋め込んだ。Hebb行列で与えると、次の様な2つの情報処理が可能であることがわかった。すなわち結合振動子系の全体に生じる固定点型アトラクターが、記憶パターンのビット情報を同期振動間の位相に反映する様な振動型アトラクターが記憶をコードする場合である。前者に関しては、記憶容量は通常のHopfield型ネットワークのそれと変わらないが、いわゆるオッシレータ死を情報のコーディングに使うことを示した例として面白い。また、オリジナルなモデルでは、振幅も重要な役割を果たしている様に思われるものの、位相自由度のみで記述されるモデルを導いてみても、やはり同様の現象の記述は可能である事がわかった。具体的にはある種の位相モデルは統計力学的に単調なHoptieldネットワークにほぼ等価なことを示した。後者に関しては、記憶パターン数が有限の範囲内で、等価な一振動子モデルを導き、それによって特定の同期状態を記憶の表現として議論することに成功した。臨界記憶容量そのものは小さくなる様であるが、記憶状態間に複雑な選移が起こる事が確認され、今後の理論的解明がされねばならないだろう。 最後の時系処理は、数字のWalsh関数展開の神経ネットワーク的表現(完全ではないが)を与えるもので、皮質内のマイクロサ-キット(Douglas ct al1989)との関連が期待できそうである。本年投稿した関連論文は2つが既にアクセプトされ、2つは現在査読が行われている。
|
-
[Publications] M.Shiino and T.Fukai: "Self-consistent signal-to-noise analysis of the statistical behavior of analog neural netwarks and enhancement of the storage capacity" Physical Review E. 48. 867-897 (199)
-
[Publications] M.Shiino and T.Fukai: "Onset of ‘super retrieval phase'and enhancement of the storage capacity in neural networks of non-monotonic neurons" Journal of Physics A. 26. 2831-2841 (1993)
-
[Publications] T.Fukai: "Amodel of cortical memory-processing based on columinar organization" Biological Cybernetics. (予定). (1994)
-
[Publications] T.Fukai: "Synchronization of neural activity is a promising mecharo-ism of memory information processing in networks of columns" Biological Cybernetics. (予定). (1994)