1993 Fiscal Year Annual Research Report
雄ラット性行動神経制御における扁桃体内側野-内側視索前野投射系の機能解析
Project/Area Number |
05780605
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
近藤 保彦 早稲田大学, 人間科学部, 助手 (00192584)
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Keywords | 雄ラット / 勃起 / 扁桃体 / 縫線核 / 大脳辺緑系 / 性行動 / セロトニン / アンドロゲン |
Research Abstract |
今年度は、扁桃体内側野-内側視索前野投射系の機能解析の一部として、4月よりアメリカのコネチカット大学心理学教授のDr.B.Sachsらとの共同研究の形で「雄ラットのペニス勃起機能」の問題に着手した。 ペニス勃起のテスト方法としては、動物を仰向けに固定してペニスに機械的刺激を与えて誘起させる「反射勃起テスト」と、発情している雌と金網越しに対面させる「精神性勃起テスト」の2通りを用いた。我々は、扁桃体内側核の破壊(MAL)が雄ラットの性行動を抑えることを既に報告しているが(Kondo,1992)、今年度はMALがこれらの勃起反応にどう影響するかを調べた。ラットにMALと去勢を施し、数週間後、テストステロンのチューブを皮下に植えて勃起テストを行ったところ、MALは反射勃起にはほとんど影響せず、精神性勃起を有意に低下させることがわかった。 一方、中脳縫腺核のセロトニン(5-HT)ニューロンは雄の性行動を抑制していると考えられているため、5-HTニューロンとペニス勃起の関係を調べた。5-HTの合成阻害剤pCPAの投与は雄の性行動を促進することが知られているが、反射勃起に対しては抑制的に作用し、精神性勃起に対しては促進的に作用した。これは、中脳の上行性5-HTニューロンは、脳の性行動や精神性勃起の制御機序に抑制系として働いており、反対に下行性5-HTニューロンは、脊髄の勃起回路に興奮性の信号を送っていると考えられる。
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