1993 Fiscal Year Annual Research Report
MRIによる血液の磁化率変化を利用した生体組織内血流状態の可視化
Project/Area Number |
05780646
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
玉川 洋一 福井大学, 工学部, 助手 (40236732)
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Keywords | 機能画像 / 血液の磁化率変化 / MRI |
Research Abstract |
近年盛んに行われているFunctionalMRI(MRIを用いて組織の機能情報を得る試み:主に血流量等)では,脳組織の関心部位における外部刺激に対する信号強度変化を観測し,その変化量からその組織の血流量や代謝の状態を推察する試みが盛んに行われている.しかしながら,その信号強度変化は単に血流量の単一パラメータで表されるものではなく,複数のパラメータが複雑に関与した結果であると考えられるため,こうして得られた画像から目的とする情報を定量的に分離して得ることは非常に難しい.そこで,本研究ではこの信号強度変化を起こす原因を,1)組織の代謝活動に伴う血管径の拡大,2)代謝活動に伴うデオキシヘモグロビンとオキシヘモグロビンの分布領域の変化,3)酸素分圧の変化による血液中のオキシヘモグロビンの割合の変化による血液の磁化率の変化,4)血管周囲細胞内の代謝活動に伴う水分子の自己拡散係数の変化,の4つに分けて検討を行った. デオキシヘモグロビンとオキシヘモグロビンの磁化率は,当施設では測定することができなかったため文献中の値を用いて計算機シュミレーションを行って評価した.その結果,2),3)および4)がMRIの信号強度に最も影響を与えており,1)の効果はそれらに比べて比較的小さいものであると考えられた.しかしながら,今回は血管を外部磁場に平行な成分のみで評価したことと,1つのボクセルには同じ径の血管しか存在しないという仮定を取ったため,現段階では,現実に組織内で起こっている現象を必ずしも正しく評価しているとはいえない.しかも,これらの効果は同時にしかも複雑に絡み合って起こっていると考えられるため,今後はその一つ一つの現象がどういう変化の範囲で起こりうるのかを生理学的に限定して,考察を進める必要がある.
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