1993 Fiscal Year Annual Research Report
インド生命学(アーユルヴェーダ)による終末期医療の研究
Project/Area Number |
05801005
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
伊藤 道哉 東北大学, 文学部, 助手 (70221083)
|
Keywords | アーユルヴェーダ / ターミナル・ケア / スシュルタサンヒター / ユーモア・セラピー / スピリチュアル・ケア / チームケア / クオリテイ・オブ・ライフ / 緩和ケア |
Research Abstract |
(1)本研究は、従来、我が国では殆ど紹介されることの無かったインド伝統医学アーユルヴェーダの英知に、今日的評価を行なう試みであった。就中、ターミナルケアに対して、西洋医学では提示することのできなかった、新たなアプローチの方法を、伝統的コスモロジーに基づいたインド医学の研究によって提示した。本研究は、難治性疾患に苦しむ患者を、精神的に支える家族・友人の役割を重視し、宗教的な伝統を尊重し、患者の安らぎを要件とする医療、アーユルヴェーダの英知を、現代の臨床医学に活かし、有終の医療、甘冥の臨床を実践するための基礎研究である。 (2)本研究は、インド伝統医学の原典研究、現代医学的意味付け、現地調査を通じて、ターミナルケアに新たな視点・方法を見出だすことを目的とした。 (3)そこで、本研究では、従来スポットライトがあたることの無かったインド伝統医学における死の臨床を、Carakasamhia、Susrutasamhita等の古代インドの医学書に学び、東洋のもう一つの伝統医学の英知を現代の医療に活かすことを期した。腫瘍等の難治性疾患に苦しむ患者にたいして、ユーモア・セラピーをも重視した、心の通いあった人々による精神的ケアをすすめているアーユルヴエーダは、ターミナルケアに新たなる視点を与えると確信する。 (4)研究代表者伊藤道哉は、日本サイコオンコロジー学会評議員であるが、1995年に10月開催予定の 〈 The 2nd International Congress of Psyco-oncology in Kobe>を、組織委員会、総務副委員長・プログラム副委員長として運営する。また、シンポジウムにも参加する。したがって、本研究の成果が、世界大会でも生かされることとなろう。
|
-
[Publications] 伊藤道哉: "仏教から日本人の心を考える" 日本サイコオンコロジー学会ニューズレター. 7 印刷中. (1994)
-
[Publications] 伊藤道哉: "Arista(死の兆し)について" 宗教研究. 67-4 印刷中. (1994)
-
[Publications] 伊藤道哉: "Ayurvedaのターミナルケア" 印度学仏教学研究. 43-1. 389-393 (1993)
-
[Publications] 伊藤道哉: "ターミナル・ケアの問題" 印度学仏教学研究. 43-1. 349-360 (1993)
-
[Publications] 河野博臣他: "日本サイコオンコロジー学会秋季セミナーテキスト" 日本サイコオンコロジー学会, 82 (1993)