1993 Fiscal Year Annual Research Report
認知心理学的アプローチによる人文・社会科学の為の新しい測定理論の開発
Project/Area Number |
05801022
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Research Institution | The Institute of Statistical Mathematics |
Principal Investigator |
吉野 諒三 統計数理研究所, 領域統計研究系, 助教授 (60220711)
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Keywords | 認知心理 / 短期記憶 / 社会調査 / 相補性 / 不確定性 / 測定 / 尺度構成 / 数理心理 |
Research Abstract |
本研究の主目的は、人文・社会科学の基礎となるべき「測定の一般理論」の展開や認知科学の観点から試みることであった。著者が特に目標としたのは、心理学や社会調査におけるデータに関する次の二点であった。 1)データの尺度の性質を、「公理論的測定論」の観点と実践的・技術的な「測定法」の観点から総合的に考察し、これらの分野のデータの性質を明瞭にする。 2)人間や社会を認知的情報処理システムと捉え、それらのシステムの処理能力の理論的限界を考察し、人文・社会科学における「不確定性原理」に相当する理論の構成の可能性を探る。 この目標のもとで、本年度得られた結果は、以下のとおりである。 1)短期記憶システムの効率に関する簡単な数学的モデルを構成し、これと過去の心理学的実験データとの比較によって、人間の記憶の効率的デザインについての考察を与えた。 2)社会調査データの分析により、〓)「回収率」とデータの中の「明確な情報量」との間に、相補的関係があることを明らかにし、〓)パネル調査における質問の「回答カテゴリーの数」と「各回答者の意見の変移率」の間にも、相補的不確定性があることを示した。 これらの成果をさらに、「確率論的エントロピー理論」と多様な実証データの分析と結びつけて、人文・社会科学一般に運用するテーゼを模索、発展中である。
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[Publications] YOSHINO,R.: "Magical Numfers of Human Short‐Term Memory -Efficient Designs of Bilogicul Memoref Systems?-" Behaviormetrika. 20. 171-186 (1993)
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[Publications] 吉野諒三: "国民性意識の国際比較研究" 統計数理. (印刷中). (1994)
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[Publications] 吉野諒三 他: "応用効果測定に関する個人差の研究" (財)吉田秀雄記念事業財団助成研究集. 26. 141-146 (1993)