<性>=セクシュアリティに対する政治社会学的アプローチに関する基礎研究

1994 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 05801024
• Research Institution: Tokyo Metropolitan University
• Principal Investigator: 椎野 信雄 東京都立大学, 人文学部, 助手 (50206041)
• Keywords: 性 / セクシュアリティ / 言説 / 権力 / 社会的構成 / 日本社会 / 近代社会 / 政治

Research Abstract

(自己申告制による崩芽的研究に係る一般研究(C)で採用された研究課題についての今年度の実施結果の報告)
本研究は、科学研究費・一般研究(C)における「崩芽的研究」として、3年間の予定で計画されたものである。本研究の目的とは、次の通りである。<性>=セクシュアリティに対して政治社会学的にアプローチするための基礎研究を行うことである。つまり、この政治社会学的アプローチで扱う<性>とは、通常の理解のような「発見」されるべき自然(科学的)な事実や事象としての「性」のことではなくて、「発明」されるべき社会的構成物としての<性>のこと、すなわち<性>とは、生物的・生理的・肉体的な「実体」そのものなのではなくて、徹頭徹尾社会的・文化的・歴史的な諸要因の産物なのである。この基礎研究は、こうした<性>の観点をもって近代日本社会の<性>現象の政治・権力状態を社会分析するという最終目的のために必ず行う必要のある準備作業的な研究の一環である。より具体的には、研究コーパスを収集・整理し、利用可能な状態にするという研究作業である。
崩芽的段階にある芽生え期の研究の「基礎研究」の初年度にあたる昨年度は、本研究目的・実施計画の方向づけをより具体的に確立することを目指して、研究実施を遂行し、以上で述べたような準備作業を確実に行うための下作業を行った。本年度以降この準備作業に実質的にとりかかる予定に従って、本年度の実績として、研究コーパス(資料)を収集し、整理し、利用可能な状態にするという研究作業を主に行った。
来年度は、コーパスの最終整理をおこない、利用可能な状態に向けて報告書にまとめたいと思う。