1993 Fiscal Year Annual Research Report
近年自然科学・社会科学等の進展・転換に鑑みての教育科学の学的存立基盤の再検討-教育科学の新しいパラダイム構築の基礎作業として-
Project/Area Number |
05801038
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Research Institution | National Institute for Educational Policy Research |
Principal Investigator |
井上 星児 国立教育研究所, 企画調整部, 企画調整官 (70223253)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊地 栄治 国立教育研究所, 教育経営研究部, 研究員 (10211872)
中垣 啓 国立教育研究所, 発達研究室, 室長 (00124181)
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Keywords | 自己準拠性 / 決定論 / 自己組織化 / ダブル・バインド / ゲーデル問題 / メタ構造 / 模倣 / 稀少性 |
Research Abstract |
研究の第1次年度にあたる平成5年度の主たる作業は、【.encircled1.】〈文献分析〉と、【.encircled2.】〈レク+討論〉の2本立てで行った。うち【.encircled2.】は、教育学の周辺の学問分野から従来の教育学の公準や認識に直接・間接に見直しを迫る知見を発表している国内の学者を招致してレクチュアを受け、討論するというもの。平成5年度は、広島大学総合科学部のC.レヴィ・アルバレス助教授を招き、日本における国家の医療・保健政策の国民教育に及ぼす影響についての氏の論考をめぐって討論し、有益な示唆を得た。今年度内から明年度にかけて、さらに、教育学の生物学的基盤に社会生物学の立場から重大な疑義を提起している進化生物学者の河田雅圭氏、近年欧米の哲学・認識論のキー・コンセプトとなっている「自己準拠性」問題に独自のパラドクス課題(再帰的情報処理能力)理論により斬新な視点を提供している糸井尚子氏などの学者を招致する予定である。 〔平成5年度の文献分析の経過〕 教育可能態(学習主体)としての人間の、生物学的基礎条件を、最新の自然科学的知見によって確認すべく、ヴァレラ(南米)、アトラン(仏)ら生物学者で哲学者・論理学者でもあり現代の世界の科学哲学の最先端をゆく〈生物の自己=組織化理論〉の著者たちの主著を読解・分析し、討論した。また、生物学・免疫学・医学等の分野から「世界解読の試み」を行っているわが国の気鋭の学者たち(池田清彦、養老孟司、柴谷篤弘、吉岡斉、太田昌邦、長谷川政美、金子隆一氏など)の著作リストを作成した。
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