1994 Fiscal Year Annual Research Report
近年の自然科学・社会科学等の進展・転換に鑑みての教育科学の学的存立基盤の再検討-教育科学の新しいパラダイム構築の基礎作業として-
Project/Area Number |
05801038
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Research Institution | National Institute for Educational Policy Research |
Principal Investigator |
井上 星児 国立教育研究所, 企画調整部, 企画調整官 (70223253)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊地 栄治 国立教育研究所, 教育経営研究部, 研究員 (10211872)
中垣 哲 国立教育研究所, 教育指導研究部, 研究室長 (00124181)
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Keywords | 教育科学 / 社会科学 / 生物学 / 知識社会学 / 認知発達 / 自己言及 / 不良設定問題 / 自己創出 |
Research Abstract |
(1)本萌芽的研究の当初の作業仮説通り、2年間にわたる内外の文献研究、他領域学者との交流・討論等の結果、近年とくに1980年代以降、教育学の「外側」の自然科学(生物学など)、社会科学(経済学など)の分野で起こっている学問的進展やパラダイス転換というべき状況は、従来のわれわれ教育学者の学的認識にも大きな組み換えを迫るものであることが、基本的に明らかになった。この結果、今後さらに当該研究課題を、他分野の専門家と密接な協同・連携をもちながら(とくに問題認識を同じうする科学技術政策研究の研究者グループや、フランスのCNRSの応用認識論研究所の所員らと)、発展的に継続させていく必要と可能性を確信するに至った。 (2)具体的に、今日の教育学の学的存立基盤に他学問領域から根源的な疑念が呈されている例として、生物学の立場から、今日の教育の諸学説が大きく依拠してきた(a)ポルトマンの「生理的早産説」、(b)「生物の行動や性質が種の持続のためにある」とする考え、(c)幼児や小学校低学年児童にアニミズムの傾向が強いとする見方、(d)道徳教育などに見られる動物の行動から道徳的な規範を教えようとする傾向……等が根拠薄弱として批判されている(河田雅圭・静岡大学教授など)ほか、経済学、情報科学などの分野からも現存の教育学の発想や認識枠組みの転換が表明されている事例が少なからずあることが明らかとなった。
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