1993 Fiscal Year Annual Research Report
英国人による非ヨーロッパ文化に対するイメージの形成の研究
Project/Area Number |
05801063
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
水野 眞理 京都大学, 総合人間学部, 助教授 (40190657)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
HARVEY Paul 大阪大学, 言語文化部, 講師 (50209350)
蒲池 美鶴 京都大学, 総合人間学部, 助教授 (80128420)
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Keywords | 大航海時代 / 旅行記 / 異文化交流 / 英国植民地 / 天正少年遣欧使節 / 日英交流 / 新大陸 / 文明と野蛮 |
Research Abstract |
英国の近代初期における異文化体験を記した旅行記、および初期の日英接触の記録の中に用いられた修辞、用語、分類法などに着目することによって、背後にかくされた心性(mentalite)を掘り起こす、という当研究の目的は着実に達成されつつあり、部分的に発表を始めている。 水野は刊行された一次資料を収集するとともに、廷臣・軍人・学者であったSir Walter Raleghの新大陸探検記および、そこに引用されたそれ以前の航海記・探検記を分析することによって、異文化の記述に現れた旧世界の心性の掘り起こしに努めた。この経過は平成6年5月の日本英文学会全国大会で発表、活字化する予定である。蒲池は大英図書館その他の所蔵資料を探査し、その中の16世紀の英国人と接触した日本人についての記事の存在を指摘するに至った。この経過を平成6年5月に上記学会で発表、活字化の予定である。ハーヴィは2回の渡英、数回の学会発表を行い、新大陸についての英国人の文書の言語分析を通じて、新歴史主義の立場を批判した。各種学会への参加の結果、近接分野の国内外の研究者と新たに交流することができたこと‥それじたいが一種の異文化交流であった‥も、成果の一つである。 しかし、できるだけ多くの一次資料を収集するという当初の計画に関しては、文献リストを作成する過程で、一次資料の分量が予想をはるかに上回るものであることが判明した。また、海外にしか所蔵されていないものも多く、時間、経費、旅費の条件の制限内では資料収集に限界があることがわかった。これにともない、異文化交流の記録のデータベース化の作業は予定より遅れていることを認めざるを得ない。したがって、当研究は当初の予定の2年終了後もあらたな課題として続行されるべきものと考えられる。
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Research Products
(1 results)