1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05801072
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
山口 隆夫 東京工業大学, 工学部, 教授 (40023618)
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Keywords | ウェーランド / 阿部泰蔵 / 大井鎌吉 / スマイルス / 中村正直 / 修身論 / 西国立志編 |
Research Abstract |
〔資料収集〕 (1)国立国会図書館所蔵の明治初期出版物の文献複写サーヴィスにより、Francis Waylandの著書The Elements of Moral Science(1877)およびThe Pursuit of Knowledge(1868)を入手した。また、The Elements of Moral Scienceを翻訳した教科書数点および大井鎌吉による全訳書を文献複写により入手した。以上の文献は、この研究にとってきわめて重要な基本的文献である。最大の収穫である。 (2)Francis Waylandの著作およびSamuel Smilesの著作を中心に関連する文献の収集を行った。いずれも一部品切れ、絶版などの図書を除いて集まりつつある。 〔比較研究〕(研究の途中経過) (1)現在、The Elements of Moral Scienceの原典、大井鎌吉の全訳書、威蘭土(ウエーランド)著「威氏修身學」、および阿部泰蔵訳教科書「脩身論」(前後編)の三著作の本文の比較検討を開始した。 (2)全訳書はいうまでもなく、教科書の翻訳も原典全般にわたる試みがなされている。当時の日本人の世界観と根本的に相違する部分(たとえばキリスト教に関係する部分)も翻訳されている。文化を移植する場合の基本的な態度を示すものとして興味深い。 (3)阿部泰蔵訳「脩身論」および保田久成訳「脩身初歩」のはじめの部分に奇妙な箇所が発見された。それぞれ独立に翻訳している筈であるが、奇妙な一致がある。翻訳の事情を説明する鍵になるかもしれない。
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