1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05802003
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
平松 毅 関西学院大学, 法学部, 教授 (20034829)
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Keywords | オンブズマン制度 / 行政相談委員 / 仲裁制度 |
Research Abstract |
本研究は、本年度及び来年度にまたがる萌芽的研究にかかる一般研究(C)として、現在執行中である。近年、我が国の経済的発展等により、日本人の行動基準に関する多くの文献が発表された。それらの文献や実態調査等により判明したことは、東南アジアを含む日本人が模範的行動ではなく、いわゆる状況対応的行動をとる傾向があること、紛争の種類によっては、状況対応的行動による方が事態に即した適正な紛争解決がなされること、それを制度化したものとして民生委員とか行政相談委員の制度があること(これら専門的知識・経験によらず、人望或いは人格的価値のみに注目して公的な任務を委ねる制度は、我が国独自の制度と思われる。逆にいうと西欧文化は、人間関係に対処することのできる人格的価値を公的に承認することを拒否してきた。)、このような国民の行動は、、我が国の法律の内容や執行にも反映され、我が国独自の法的風土を形成していること、近年、東京第二弁護士会及び大阪弁護士会で始めた仲裁制度は、法的規範による紛争解決の欠陥を補い、これからの紛争多発社会に対処するために積極的に育成する必要があること、西欧で広く受入れられているオンブズマン制度は、このような視点から、法的規範による社会統制に限界があり、法的規範によらない紛争解決方法の必要性を公認したものと評価できること、今後、オンブズマンにどういう人物を任命するかについても、以上のような知見を反映させる必要があることなどの新知見を得た。来年度は、以上のような視点から、特にオンブズマン制度によって対応することのできる紛争の種類とか機能に着目して研究を継続する予定である。
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