1993 Fiscal Year Annual Research Report
ドイツ近代刑法史-とくに19世紀前葉の刑法理論及び刑事立法の現代的意義
Project/Area Number |
05802008
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
岡本 勝 東北大学, 法学部, 教授 (50004164)
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Keywords | プロイセン形法 / プロイセン普通ラント法 / ダンケルマン / カンプツ / ザヴィニー |
Research Abstract |
本研究の当初の全体目的は、ドイツ帝国刑法典の生成の過程につき、18世紀後期-19世紀前期に展開された普通法時代のドイツ刑法理論及び各ラントの様々の立法を素材にして、直接資料を駆使して実証的に分析・考証を加えることにあった。現代刑法学の底に潜む氷山の海面下の部分の探求こそ、普遍的な刑法学を構築する上で重要であり必要であると考えたからである。当時の特筆すべき立法は、1794年プロイセン普通ラント法であるが、本法は、近代的刑法とは未だ言い難く、近代的な刑法の成立は、その後の立法の発展を俟たなければならなかった。従って、立法的にも、19世紀初頭から19世紀後葉の帝国刑法典成立までの時期に対する考察が極めて重要であり、現代刑法学の深い考察にとって不可欠である。即ち、19世紀前葉におけるドイツ・ラント刑法の沿革、特に、結果的に帝国形法典と化した1851年プロイセン邦刑法典の立法過程に対する研究は重要である。そこで、本研究は、まず具体的に、1851年プロイセン形法典の系譜・沿革に焦点をあて、文献・立法資料を渉猟・駆使することによって、緻密かつ実証的に分析・考究することに向けられている。プロイセン・ラントにおいては、1820年代に本格的な刑法改正の動きが現実化し、1828年草案、1830年草案、1833年修正草案、1836年修正草案、1840年枢密院直属委員会草案、1843年枢密院草案、1845年修正草案、1847年草案、1851年草案などが、相次いで起草されていることが、第1次的資料を入手・検討することによって確認された。その中には、理由書や審議録等の立法資料が公表されているものもある。それらの資料に基づき、従来とくに関心を抱いてきた「公共危険犯」とよばれる一群の犯罪を手掛かりとして、現在、1836年草案まで考察を進めている(なお、後掲論文参照のこと)。
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Research Products
(1 results)