1993 Fiscal Year Annual Research Report
農工銀行と他金融機関-戦前期日本の「不動産金融」の研究-
Project/Area Number |
05803007
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Research Institution | Soka University |
Principal Investigator |
植田 欣次 創価大学, 経営学部, 教授 (40232748)
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Keywords | 不動産金融 / 農工銀行 / 市街宅地 / 農地担保金融 / 土地投機 |
Research Abstract |
本年度の研究目的は、農工銀行資料の収集と都市農銀を中心とする土地登記簿調査であった。研究の実績は以下のとおりである。 第1。各府県に設立された農工銀行は、1921年から1944年にかけて、46行すべて勧業銀行に合併されたが、合併時の農工銀行資料は、現在、第一勧業銀行が殆ど全て完全な状態で保存されており、貴重な資料があることを確認した。これらの資料は、勧業銀行が行なった農銀ごとの「合併のための調査資料報告」、合併時に農銀が作成した「合併引継表」であり、第一次世界大戦から太平洋戦争中の「不動産金融」の研究資料として不可欠なものである。 第2。このうち、大都市所在の農銀(東京、大阪、兵庫、愛知、神奈川、京都)などを中心に、その他の地方都市所在の農銀関係の資料の撮影収集を行なった。 第3。都市型農銀の年賦償還貸付金の担保になっている不動産のうち、主として市街宅地の土地登記簿を収集した。土地登記簿の収集は、今年度においては大阪市、堺市、神戸市、西宮市、広島市、宮崎市、名古屋市、小田原市、横浜市において行なった。地番が現在と戦前では異なるために、収集には根気を必要とし、少しやっかいであるが、時間をかければ、戦前期において勧業銀行がしばしば行なった土地登記簿調査が可能であることが分かった。 次年度においては収集した資料を整理・分析するとともに、さらに全国的レベルで農銀の経営資料、土地登記簿を収集する予定である。
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