1994 Fiscal Year Annual Research Report
終神経GnRH系の神経修飾作用に関する生理・生化学的手法を用いた研究
Project/Area Number |
05804054
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岡 良隆 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (70143360)
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Keywords | 神経生物学 / 神経ペプチド / GnRH / 生殖腺刺激ホルモン放出ホルモン / ペースメーカー / 神経修飾 / パッチクランプ / 膜電位固定法 |
Research Abstract |
神経修飾作用は動物行動の長期的変化、例えば、動機付けのレベルの変化などに重要であると考えられ、生物学的に意義のある現象である。しかしながら、ペプチド作動性ニューロンが神経修飾物質として働くために備えている、その細胞レベルでの性質(個々のニューロンの電気生理学的性質、形態、ペプチドの放出様式及びその制御など)については未解明である。そこで、私は小型熱帯魚の脳の終神経GnRH(ゴナドトロピン放出ホルモン)系を利用した効率的な実験系を開発した(全脳摘出in vitro標本)。私はこれまでの研究で、終神経GnRH細胞が内因性のイオンメカニズムにより規則的な自発放電をしていることを発見し、それが終神経GnRH細胞の神経修飾作用に重要な役割を果たしているという仮説を提唱した。昨年度の研究成果により、規則的自発放電の基礎となるペースメーカ電位の発生には、活動電位発生に働く従来のナトリウムチャンネルとはTTX感受性・カイネティクス等の異なるナトリウムチャンネル(テトロドトキシン耐性持続性ナトリウムチャンネル、I_<Na(slow)>)が重要な働きをしているらしいことがわかった。本年度は、申請書に記載した予定通り、ホールセルパッチクランプの手法を取り入れて、膜電位固定法により、このイオンチャンネルの性質を調べた。その結果、終神経GnRH細胞の静止膜電位付近にI_<Na(slow)>の活性化・不活性化曲線の広範囲な重なりが発見された。この性質が、ペースメーカー発生に最重要であると考えられる。一方、電流固定法で記録されるPPsに対して、noradrenaline(NA)は抑制的に、salmon GnRHは促進的に働くことがわかった。そこで、両者のI_<Na(slow)>に対する影響を電位固定法で調べたところ、NAがI_<Na(slow)>を抑制することがわかった。これらの結果は、動物学会・神経科学学会・米国神経学学会などに発表した他、Journal of Physiology,Journal of Comparative Neurology等にも出版した。
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[Publications] Oka,Y.: "Tetrodotoxin-resistant persistent Na^+ current underlying pacemaker potentials of fish gonadotrophin-releasing hormone neurones." Journal of Physiology. 482. 1-6 (1995)
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[Publications] Maejima,K.,Oka,Y.,Park,M.K.,and Kawashima,S.: "Immunocytochemical double-labeling study of gonadotropin-releasing hormone(GnRH)-immunoreactive cells and oxytocin-immunoreactive cells in the preoptic area of the dwarf gourami,Colisa lalia." Neuroscience Research. 20. 189-193 (1994)
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[Publications] Yamamoto,N.,Oka,Y.,: "Multiple gonadotropin-releasing hormone(GnRH)immunoreactive systems in the brain of the dwarf gourami,Colisa lalia:immunohistochemistry and radioimmunoassay." Journal of Comparative Neurology. 354(印刷中). (1995)
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[Publications] Kim,M.,Oka,Y.,: "Immunocytochemical localization of sGnRH and cGnRH-II in the goldfish brain." Journal of Comparative Neurology. 355(印刷中). (1995)
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[Publications] Oka,Y.: "TTX-resistant persistent Na^+ current underlies pacemaker potentials of fish gonadotropinreleasing hormone(GnRH)neurons." Society for Neuroscience Abstract. 20. 1528- (1994)
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[Publications] Oka,Y.: "Hormone and behavior(3)GnRH and behavior in fish." Clinical Neuroscience. 13(印刷中). (1995)