1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05805007
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
伊藤 秋男 京都大学, 工学部, 助教授 (90243055)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今西 信嗣 京都大学, 工学部, 教授 (10027138)
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Keywords | 微粒子イオン / クラスタービーム / メゾスコピック |
Research Abstract |
本研究はイオンビームと超微粒子との間の衝突素過程を調べる事により、メゾスコピック領域における微粒子の物理化学的性質に対する知見を得る事を目的としている。当初の研究計画では、(1)良質の微粒子イオン源の作成、(2)散乱用真空槽の製作、(3)二次イオン等の衝突生成粒子検出器の製作、(4)励起・解離等の衝突断面積の測定、の4段階に分けて進める予定であった。科研費配当(対申請額60%)予算内での平成5年度実績を以下の様に報告する。 (1)微粒子イオン源:従来の直下型イオン源を作成しイオン引き出し実験を行った結果、この型のものでは粒子の価数および質量の分離がうまく行えないことが判明した。重力作用をより効果的に利用するために、直上型、即ち「鉛直方向下から上にイオンを引き出す方式」に変更し、実験を試みた。価数・質量の分離には45度の静電偏向板を用い、イオンの検出は2重シールドの電流計を用いた。また、引き出されたイオンの空間分布を測定するために粘着液を塗布した濾紙をビーム軸に設置し、付着粒子の濃淡からビームの方向、集束性をモニターした。特定の価数・質量を選別することはこの方法により大幅に改善されることが判った。但し、イオン源としての寿命が約10分間程度と短いため、衝突実験の様に一回の測定に数時間を要する実験にはこのままでは不適当である。そのため、寿命を長くするための改良を現在行っており、従来の静電気型イオン源方式に替えて、坩堝加熱による微粒子蒸発方式を採用し、坩堝の温度を外部から制御できる方式に変更している段階である。 (2)散乱真空槽:限られた予算内での製作は無理であったため、既存の類似品を改造して作成している。但し、超高真空型にすることは不可能であるため、真空度にあまり影響されない衝突過程(散乱角度分布など)を対象とする予定である。 (3)二次イオン分析器:既存の電磁石を改良し組み込んでいる。 本研究は次年度以降も引き続き行い、(1)〜(3)の組立後、実際の衝突実験(4)に入る予定である。
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