1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05805014
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
木村 好次 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (20010910)
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Keywords | トライボロジー / 潤滑 / 潤滑剤 / 液晶 / サーモトロピック液晶 / ネマティック液晶 / 電場 / 摩擦のアクティブ制御 |
Research Abstract |
液晶は,流動性と分子配向性の共存による異方性流体としての特性から,工学的応用上,極めて多くの魅力的な性質を有する機能性材料である.本研究では,その液晶を潤滑剤として用いることを試み,液晶潤滑剤による摩擦のアクティブ制御の実現を目標として,液晶の流体潤滑への応用と境界潤滑への応用の二つの方向から,その性能および可能性を実験によって検討した. まず,流体潤滑への応用では,潤滑剤の粘度が摩擦状態を決定する重要なパラメーターになるとの見地から,二円筒型回転式粘度計を用いて液晶の粘度測定を行った.供試液晶としては,液晶表示素子用に開発された,常温・常圧でネマティック相を呈する,低分子サーモトロピック混合液晶を用いた.そして,二円筒間の液晶薄膜への電場の印加によって,液晶のみかけ粘度が上昇する現象(電気粘性効果)を確認し,電気粘性効果に及ぼす電場強度,せん断速度,温度,誘電異方性等の影響を明らかにした. 境界潤滑への応用では,高荷重・低すべり速度の摩擦状態を実現するT型振子式摩擦試験機を用いて,液晶の境界潤滑性能を直接調べた.供試液晶としては,液晶表示素子用に開発された,常温・常圧をネマティック相を呈する,低分子サーモトロピック混合液晶を用いた.そして,液晶のバルクでの相転移は直接には摩擦係数に影響を及ぼさないこと,また,試験片の改良によって液晶境界潤滑膜への電場印加を可能とし,直流電圧30Vの印加によって,摩擦係数が約25%低下することを見出した.また,摩擦係数に及ぼす直流・正弦波交流印加電圧,正弦波交流周波数等の影響を明らかにした.
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Research Products
(4 results)
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[Publications] S.Morishita and Y.Kimura: "Electroviscous Effect of Liguid Crystals" Proc.19th Leeds-Lyon Symposium on Tribology,Elsevier. 495-501 (1993)
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[Publications] S.Morishita,K.Nakano and Y.Kimura: "Electroviscoos Effect of Nematic Liguid Crystals" Tribology International. 26. 399-403 (1993)
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[Publications] Y.Kimura,K.Nakano,T.Kato and S.Morishita: "Control of friction coefficient by applying electric fields across liguid crystal boundary films" Wear. (印刷中).
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[Publications] 木村好次,田川泰敬: "トライボロジーにおけるアクティブ制御" トライボロジスト. 38. 673-677 (1993)