1993 Fiscal Year Annual Research Report
鉛基合金/一酸化鉛/二酸化鉛固体電池の起電力発現に及ぼす合金元素の作用
Project/Area Number |
05805057
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
田口 正美 秋田大学, 鉱山学部, 講師 (90143073)
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Keywords | 二次電池 / 固体電池 / 起電力 / PbO / 固体電解質 / PbO_2 / Pb基合金 / イオン輸率 |
Research Abstract |
PbOを電解質とした新型固体電池の可能性を探るため、熱処理法あるいは電解法によりPb-Me系合金(Me:Ag、Sn、BiおよびSb)上に固体電解質PbOを生成させた固体電池を構成し、起電力発現に及ぼす合金元素の影響を調査した。得られた結果は以下のように要約できる。 1.正極活物質であるPbO_2とPb基合金を圧着し熱処理を施した電池の起電力は、最高でも数mV程度しかなく、実用電池としてはきわめて不充分であった。これに対し、電解によってPbO_2をPb基合金上に生成させて熱処理をした電池の起電力は、圧着法に比較して高い値を示した。特に、純Pbを負極材料とした電池を熱処理し、333Kに保持した際の起電力は670mVに達した。この電極では、電解生成物PbO_2と素地金属Pbとの界面に固体電解質PbO層が存在し、引き続く熱処理によってこの層が成長することが、交流インピーダンス法ならびにX線光電子分光法によって確認できた。ところが、Pb基合金中のAgおよびSnについては、固体電解質PbOの生成を阻害する傾向が認められ、電池起電力はこれらを合金化することで急激に低下した。 2.電解法によって作製したPb-Bi系合金およびPb-Sb系合金電池の起電力は、Pb-Ag系合金およびPb-Sn系合金電池のそれよりも数オーダー高い値を示した。例えば、0.0023mass%Sb-Pb合金電池は、熱処理前室温の状態で既に150mVの起電力を示し、実用電池としての利用が期待できた。この現象は、固体電解質PbO中にPb^<2+>イオンとは原子価の異なるBi^<3+>イオンあるいはSb^<3+>イオンがドーピングされたために起こるものであり、O^<2->イオン空孔の増大に伴うイオン輸率の上昇と解釈できる。従って、起電力発現には、単に固体電解質PbOを生成させるだけではなく、そのイオン輸率を上昇させることがきわめて重要である。
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